コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

IBM Connect 2013 オープニング・ジェネラル・セッション後半 その1

IBM Connect 2013 のOGSネタ2回目です。本当は"後半"にしようと思っていたのですが、OGSの内容の濃さに負け、小出しにしてしまいました。

 

さて、IBM Collaboration Solutionというと、ノーツやConnectionsなどの社内コラボレーション製品のことだと思う人が大半だと思います。実は、お客様を惹きつける社外サイトを作るためのソリューションがあります。Industory Solution のジェネラルマネージャーCraig Hayman氏が登場し、そのお話が始まりました。

 

皆さん、突然ですが”Steampunk”って知っていますか?

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ファッションの1つみたいなのですが、私は知りません。Craig Hayman氏は、「これからは、Steampunkが流行る」と言います。なぜか。IBMのソーシャルメディア分析ツールを使って探り当てたと言います。これからの顧客向けサイトは、分析ツールを駆使して、市場を開拓していくのだということでしょうね。

 

一旦、自社サイトにまでアクセスしてもらえたら、その後、その顧客に合わせた情報を出して、ロイヤリティを高めていきます。さらにその顧客がソーシャルネットワーク上で自社製品の良さを伝えて、他の顧客を呼び込むという好循環が生まれます。そのような顧客を、"Chief Executive Customer" と呼んでいました。顧客ならぬ"個客"として接するように、システムの進化が必要ということです。

 

次にデモです。

 

Greenwell社という架空の会社のマーケティング担当者が、キャニオニングというスポーツに興味を持ちます。そして、Greenwellでもキャニオニングに使える商品を売っていることに気が付きます。

 

そこで、ソーシャルメディア分析ツールでキャニオニングを分析すると、"ツール"と"安全"が、キャニオニングに関して良く会話されているテーマだと見つけます。

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次に、Greenwell社のイメージを分析ツールにかけます。

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ソーシャルメディア分析というと、センチメント分析という、良いイメージを持っているのか悪いのかという分析が最近出てきていますが、さらにその上をいって、どんなイメージを持っているのかが分かります。このデモではそれを赤いブロックで示しており、Greenwell社は、"品質"、"ロープ"、”クライミング"という点でよいイメージを消費者に持ってもらえていることが分かりました。つまり、キャニオニング関連商品として、自社製品が売れるのではないかという仮説が立てられたのです。

 

そこでマーケティング担当者は、自社サイト上でキャンペーンをやります。

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情報システム部に頼むことなく、マーケティング担当者はポンポンと設定するだけで自力でキャンペーンページを作ってしまいます。これは、"IBM Customer Experience Suite"という製品の機能です。

 

次に、このキャンペーンページを誰に表示するのかを決めます。

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"エクストリーム・スポーツに興味がある"、"過去90日以内に購買履歴がある"、”谷がたくさんある西に住んでいる” という3つの条件で顧客を絞込み、その顧客だけにこのキャンペーンページを表示するように設定します。

 

ページをリフレッシュすると、キャニオニング用の丈夫なロープが安くなっていますよ、というキャンペーンページが出てきました。

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さらにこのキャンペーンページをソーシャルメディア上にも配信します。

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"Social Media Publisher"という新機能を使い、Twitter、Facebook、社外用コミュニティサイトに自動配信させます。

 

暫くした後、キャンペーンの効果を見てみます。

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マーケティング担当者は、メニューを選択するだけで、キャンペーンページのアクセス状況、滞留状況を見ると、かなり増加していることがみられ、キャンペーンが成功しているのが分かります。システム部門に依頼しなくても、マーケティング担当者は自分で分析できるところがポイントです。

 

キャニオニングに市場があることがわかったので、もっと顧客ロイヤリティを高めるために、ユーザーコミュニティページを立ちあげます。

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マーケティング担当者は、テンプレートを選択するだけで、コミュニティページが1分で出来上がります。

 

 コミュニティに、魅力的な動画コンテンツを追加します。

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IBM Customer Experience Suiteの"Rich Media Edition"では、直感的な操作で動画、画像などを検索、加工、レンダリングできます。ここでも、マーケティング担当者自身が作業をします。

 

出来上がったページは、スマートデバイス上のブラウザーからもアクセスできます。

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 デバイスの画面に合わせて、IBM Customer Experience Suiteが画面を自動的に出し分けてくれます。

 

モバイルでもアクセス分析が可能です。

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ヒートマップという名前で呼んでいましたが、クリック数の多い部分を赤く分かりやすく表示してくれます。

 

もっとユーザーインターフェースを良くするために、"IBM Worklight"を使って、ネイティブアプリケーションとして実装することが可能です。

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ネイティブアプリなら、ビデオ動画もサクサク。キャニオニングに向かいながら、ハウツービデオを見ます。

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ビデオを見て、足りない道具に気づいたとしても大丈夫。デバイスのGPSを使って、近くのGreenwell販売店を表示してくれます。

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ついでに、今までの顧客履歴から判断して、クーポンも表示。

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というところで、デモは終了。

この後、Craig Hayman氏より、いくつかお客様事例を挙げ、さらに、Caterpillar社よりお客様にご登壇いただきました。

 

 

ここで説明されていたものは、IBMの"Smarter Commerce"ソリューションです。コラボレーションは、もう社内だけでなく、顧客ともつながっていきます。そのためには、単一ブランドだけで実装していくのは無理があります。IBMは、その総合力をもって、お客様課題を解決していきます。

 

大分長くなりました。。。OGSの残りも、引き続きキャッチアップしてアップしていきます。あとは、KenexaとWatsonが残っています。

 

<関連エントリ>

IBM Connect 2013 オープニング・ジェネラル・セッション 前半

 

IBM Connect 2013 オープニング・ジェネラル・セッション 前半

先週、IBM Connect 2013(旧名Lotusphere)が開催されました。深夜にLivestreamで生中継があったのですが、昼間は当然仕事で、また私は元来朝型なので深夜はつらく、結局、公開されている録画を何とか見てキャッチアップしようとしているところです。

 

ということで、まずは基本中の基本のオープニング・ジェネラル・セッション(OGS)です。これを見れば、IBM Connectで発表されるメジャーどころの内容はだいたいカバーできます。

 

ibmsoftware on livestream.com. Broadcast Live Free

 

最初は、IBMの事業責任者やゲスト・スピーカーの話などがありますが、まぁ飛ばさせていただいて・・・。前半の山であるソーシャル系のお話を。

 

 

登壇してきたのは、Sandy Carter。グローバルの営業責任者です。営業といっても、彼女自身は、ものすごくソーシャルメディアを駆使している人で、自身のソーシャルビジネスに関する知見をまとめて、本を出したりしている人です。

その彼女がソーシャルウェアを定着化させるための10のベストプラクティスを発表しました。詳しくは別セッションで解説があったのでしょうけれど、OGSの場で言いたかったのは、「ソーシャルウェアといっても、ただのツール。活用するノウハウも合わせて必要。」ということでしょう。そのノウハウを持っているのがIBMの強みでもあります。

また、企業のソーシャル化は、一つの旅みたいなもので、簡単には実現できません。それをSandyは、「ソーシャル定着化はダイエットと同じ。ライフスタイル・チェンジなのよ。」と表現していました。

 

次に、いよいよ製品の話です。スピーカーは Jeff Shick。ソーシャル製品の総責任者です。ソーシャルといっても、製品はIBM Connectionsだけではありません。Sametimeも、Notes/Dominoもソーシャル製品の一部です。今年出てくるそれらの製品の新バージョンで何が出来るのか、デモを交えて見せていました。

まずは、IBM Connections NEXT。タイムライン上で動画が埋め込んでプレビューできるデモから入ります。うちのCEOもそうですが、動画で経営メッセージを社員に伝えるのは、マネージメント層のユースケースの1つでしょう。それがタイムラインに載ってプレビューもできるとなると、メッセージの浸透度合いも違ってくるというものです。

 

 そして、IBM Connections Content Manager(CCM) の発表です。

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これは、IBM Connections上で、従来型のファイル共有が出来るというものです。つまり、階層型フォルダ、ファイル登録ワークフロー、チェックイン・チェックアウト、などですね。私は、今回、このCCMの発表が大きいと思っています。というのは、ソーシャルウェアで個人がファイルを自由に共有して、タグをつけることで自然に整理されて・・・という世界は、大げさに言えば企業文化の変革を伴うものですから、一足飛びに実現できるものではありません。それがCCMによって、従来型のファイル管理方法から始めて、ソフトランディングで徐々に、ソーシャルファイル共有に移行するということができると思うのです。今まで、IBM Connectionsを説明したお客様には、ほとんど、このような従来型のファイル共有はできないの?と聞かれてきました。これからは、「出来ます!」と言えます。また、ただ出来るだけでなく、いいねやコメント、タグ付け、フォローなどのソーシャル要素も出来るので、これは非常に強力です。早く試してみたい機能の1つですね。

 

続いて、IBM ConnectionsとSametime Web Meetingの融合。

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 IBM Connectionsのコミュニティに入ってる人をパッとあつめて、コミュニティ内で共有されているファイルをみんなで見ながらミーティングというデモです。上の画面コピーを見ると、参加者が複数見えますね。マルチビューです。これは、Sametime NEXTで実装されてくる予定の機能です。Connections NEXTはSametime NEXTと、より密に融合してきます。もちろん、このWebミーティングは、モバイルデバイスからもマルチビュー対応で参加できる予定です。

 

 次に出てきたデモが非常に興味深かったです。

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 なんと、テーブル位大きいタブレット(もはやタブレットとは言わない?)を使って、IBM Connectionsを操作しているのです。昔、何かのSF映画で、テーブルがスクリーンになっていて、それを操作しながら作戦会議をするなんていうシーンがありましたが、まさにそれです。これは、Foresee社というIBMのビジネスパートナー様のソリューションです。IBM Connectionsのコンテンツと連携し、誰にどの仕事をアサインするか、だなんていうシーンをデモで演じていました。

YouTubeにForesee社のデモ・ビデオがあったので、以下に貼っておきます。本当に、未来はここまで来たという感があって、ワクワクしますね。

 

こういう大きなタブレット、机に置いて使うようなタブレット、どうやら"テーブルPC" というカテゴリがあるようです。検索すると、沢山見つかります。各社出していて、以下のLenovoのビデオを見ると、こりゃテレビは駆逐されちゃうな、と思うのです。家庭で広がれば、コンシューマライゼーションの流れで、企業にも来ますよね。

 

 

さて、次はNotes/Domino Social Editionです。

ここで言いたいのは、ずばり、"Notification to Partcipation" というメッセージです。つまり、単にメールで通知されるだけのことから進化して、通知されたら行動にすぐ移すのだ、というメッセージです。そのために、Notes/Domino Social Editionは、IBM Connectionsからの、"お友達申請があります”、”あなたにファイルが共有されました”、”つぶやきにコメントがあります”、といった通知メールの中かから、すぐにアクションを起こせるように、メール文書とIBM ConnectionsのUIを統合しているのです。統合できるシステムは、IBM Connectionsだけではなく、OpenSocialという規格に則ったシステムであれば可能になります。これは、ソーシャルウェアを使ってもらうという点で大きな効果があります。使ってもらうには、研修や啓蒙活動などの運営側の努力が必要ですが、テクノロジー側から出来ることもあります。Notes/Domino Social Editionは、その解の1つです。

このお話は、2月19日開催の日経BP無料セミナー「ソーシャルが拓く 新しいコラボレーションの姿」で、US IBMのエグゼクティブのジョン・ベックと私が解説しますので、是非、お越しください。ただいま受付中です!

 

そして続くのが、IBM Connectionsのファイル共有機能の進化。IBM Connectionsは、ローカルで作ったファイルをドラッグ&ドロップでサーバー上に保管し、それをWindowsやMacやタブレットPCなど、いろんなデバイスでダウンロ-ドして見ることができます。新しい機能では、それを同期することが出来ます。つまり、ファイルに更新があったら、自動的に認識し、新しいバージョンのファイルをダウンロードしてくれるのです。iPhone, iPadであれば、Apple Push Notification Serviceで更新があることを知らしてくれます。これも待ち遠しい機能ですねぇ。今でも、更新があればメールで自動的に知らせてくれるようになっていますが、ダウンロードするというのはちょっと手間です。この機能は、言ってみれば、ソーシャルに対応した企業内Dropboxと言えるでしょう。

 

iPadでのモバイルファイル共有のデモの流れで次に出てきたのは、IBM Docs。

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IBM Docsは去年の末にパブリッククラウド上でリリースされ、Google Docsみたいに、ブラウザー一本でワープロ、表計算、プレゼンファイルの作成・編集が出来て、それが複数人で同時に編集可能で、在席確認、コメントなどを使って、コラボレーションしながら1つの文書を共同編集できます。それが、今回、モバイル対応しますというものです。タブレットで同じように共同編集できます。ポイントは、オフラインでも編集作業ができるというところかなと思います。次にネットワークにつながったときに、編集作業内容はサーバー上のファイルと同期が取られます。先にご紹介した、Connections Content Managerと組み合わせれば、モバイルでファイル登録ワークフローを使って承認したり差し戻したり、差し戻されれば修正して、また承認申請を出したり、だなんてことが可能になりそうです。

 

さぁここまでで、いろんな新機能計画の発表がありましたが、強調されていたのは、"Mobile First"、"Cloud First" というキーワードです。世の中で言われている"Mobile First"とはちょっと違うのですが、つまりは、モバイルでの機能実装も、クラウドでの機能提供も、オンプレミス以上に考えていますよというメッセージです。この通りだとすると、パブリッククラウドのコラボレーションサービスのIBM SmarterCloud for Social Businessは、今年、大きく進化するはずです。楽しみですね。

 

デモの後は、ソーシャルビジネスのお客様事例で、BOSCH社のCIOのGERD FRIEDRICH氏がご登壇。グローバリゼーション、社内外を巻き込んだイノベーションの醸成、業務のスピード&効率化、という3点を課題として持っていて、今まさにIBMと一緒にソーシャルで解決すべく取組んでいるという内容でした。ここでのポイントは、その展開計画の長さですね。簡単なロードマップが書かれていたのですが、なんと2011年から始まって2020年までありました。10年計画です。FRIEDRICH氏は、チェンジマネジメントが大事と言っています。そうなるとやっぱり短期では難しいですよね。でも取り組まなくてはいけない。だから他社に先駆けて早く着手する。横並び意識からは決してこういう発想にはならないですよね。欧米企業の競争力の強さを見た思いでした。

FRIEDRICH氏は、10年計画とはいえ、すぐに着手して改善できる部分は沢山あると言います。まずは小さな成功体験を積み重ねていこうということでしょうか。最後に彼はこう締めくくりました。「Just Do It !!!」

 

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。大分長くなってしまったので、後半はまた後日アップしようと思います。Webでのカスタマー・エクスペリエンスの話や、全米クイズ王者に勝ったWatson君のビジネス利用の話などが続きます。それでは!

IBM Connect 2013のLivestream情報をGoogle Calendarにしてみました

いよいよ来週から "Lotusphere 2013"、じゃなくて名前変わって "IBM Connect 2013" が開催されます。私は今年はお留守番です。例年、Livestreamでオープニング・ジェネラルセッションが生放送されるので、見ようと思っていたら、Social Business Insights Blog で、それ以外のセッションも含めてタイムテーブルが公開されていました。

 

結構、思ったより多くのセッションがLivestreamされます。今年は、人気のAdminblastセッションまでが対象になっていますね。

 

このままでは見にくいので、Public Google Calendarにして公開してみました。私の独断と偏見で、カレンダーエントリの頭に★をつけています。
 ★★★  必見
 ★★   是非見たい
 ★    体力があれば見てみたい

 

 

是非、Notesカレンダーにオーバーレイして御覧ください!Googleカレンダーをオーバーレイする時のURLはこちら↓です。

https://www.google.com/calendar/feeds/7copaehc3p82e5q75qv44tb64o%40group.calendar.google.com/public/basic

やり方は、以下のブログが参考になると思います。このブログではiCalの取り込みであってGoogle Calendarではないのですが、Google Calendarの場合は、Google Calendarを選択するところが違うくらいです。

Lotus Knows - 計画停電カレンダー をLotus Notes に取り込もう!!

 

来週はちょっと寝不足気味になりそうですね。Asia向けの時間帯でリプレイもあるみたいなので、昼間に見ることのできる人はそちらのほうがいいかも。

 

 

LotusからIBMへ。

先日、IBM Notes/Domino 9 Social Editionのベータ版が発表されました。Lotusというブランド名が外れて、IBMブランドとしてノーツが位置付けられた形です。


実は、Lotus製品は今やLotusの冠がついているのは、Lotus Quickrくらいで、他の製品は、IBM Sametime、IBM Connections、IBM Websphere Portal、IBM Forms、IBM Web Content Manager、IBM SmarterCloud for Social Business、などのように、Lotusの名はついていません。


いまや、コラボレーションは様々なアプリケーションと連携するようになっており、もはやコラボレーション単体でブランドを位置付けるのは合わなくなってきているのだと思います。CRM, SFA, HCM, ERPなどの業務アプリケーション、Rationalの開発ツール、Websphereが提供するBPMソリューション、Cognosの分析ツールなどなど、一昔前では考えられないくらい、連携の幅を広げています。中には、製品にIBM ConnectionsやSametimeの機能がついたものもあります。


中身に合わせて名前を変えるのは、会社名だって同じです。「ノーツの名前は変わっても中身は同じですよ」と説明する人がいるかもしれませんが、僕はちょっと違うと思ってます。中身が変わってきたから、それに合わせて名前を変える、そう考えるのが筋が通っています。


昔からLotusに慣れ親しんでいる方々からは、寂しいというお声を頂きます。しかし、IBMブランドが前面に出ることにより、今よりももっと多くのお客様にノーツを使って頂けるのではないかと思うのです。Lotusと聞くと、未だにLotus 123の会社だという人は多いです。結果的に、そういった方々にノーツを知ってもらいやすくなります。


幸い、ノーツがなくなるのではないかという心配の声は聞こえてきません。もし、そのようなご心配をされている方は、Social Editionの中身を見ていただければ、IBMはノーツに投資し続けているというのがお分かりいただけると思います。来年のIBM Connect 2013 (旧Lotusphere) で、Social Editionの全貌が明らかにされると思いますので、ご期待下さい。


因みに、今日は12月3日。ワン•ツー•スリーです。こんな日にこのエントリーをアップするのは、何か感慨深いです。ダーウィンは、『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である』と言っています。IBMは変化しながら100年間成長してきました。IBMのコラボレーションも、これからも変化しつづけるでしょう。

Lotusphere 2012 〜 3日目

3日目です。Lotusphere自体は、クロージングイベントが行われる4日目までありますが、日本から来たIBM社員は全員別のミーティングに参加しなければならないので、今日が事実上、僕が参加できる最後になります。今日のメインは、いよいよ、Notes NextとiNotes Nextの個別セッションです。


■Notes Next

まずはこのセッション。いよいよNotes Social Editionの詳細の姿が分かるかと思うと期待が高まります。会場は比較的小さなところだったせいもありますが、満員でした。スピーカーの方は、Connections Mailも担当されているようです。メールつながりということでしょうか。ここでも、IBM Project Vulcanに言及しており、もうVulcanの思想は製品に実装されてくるから、Vulcanとは言わなくなると言っていました。









Notes Nextに行く前に、8.5.3の機能拡張の話がありました。まぁ僕はほとんど知っているわけですが、いくつか知らなかったものがありました。そのうちの1つがこれで、宛先選択などの時に、タイプアヘッド、つまり、名前の数文字を入れただけで候補を自動的に出してくれる機能の話です。このオプションをセットすると、名前の後ろに部門名を入れたり、役職を入れたりすることができるというものです。宛先間違いがより少なくなるでしょうね。DJX環境だとどうなるかテストしてみたいところです。






最初は、Social Editionの考え方から。ポイントは、OpenSocialコンテナを実装したところでしょう。OpenSocialコンテナの中で、Activity Stream、Embedded Experience、ソーシャルメールが動くようになります。技術的にちゃんと理解するために、OpenSocialについては勉強しておかなければなりませんね。


後半でデモがあったのですが、Embedded Experienceが中心で、Activity Streamのデモはありませんでした。デモにはConnections V4が必要なはずですので、多分、準備しきれなかったのでしょう。デモのほとんどはEmbedded Experienceでした。







Embedded Experienceは、なんと、ノーツウィジェットとして実装されていました。ノーツが実装している今のウィジェットの仕組みは、ノーツ独自のところがありますが、今後はOpenSocialで実装されるとのことです。Embeded Experienceとは、Notesのなかに別のアプリが埋め込まれて表示され、別のアプリやブラウザ画面を立ち上げなくても、そこから操作ができるというものです。ノーツの世界の中だけであれば、埋め込みフォームで実現されていたものですね。それがWebオープンになるということです。その別のアプリ単位でウィジェットを作成して取り込んでおくらしいです。まぁよく考えれば、そこでコードが動くわけですから、認められたプログラムだけを動かすようにしなければなりません。管理者側でウィジェットを作成しておいて、クライアントに自動配布するということが必要になってくるということですね。早く試してみたいところです。







これは、配送会社のUPSの荷物トラッキングシステムとの連携例ですね。UPSからのメールをみるとこんな画面がすぐに見られて、地図を操作できるということをデモしていました。他に、Lombardiからの出張申請承認画面との連携や、アンケートシステムとの連携などがデモされていました。どのデモをする時も、ウィジェットカタログから該当のウィジェットをドラッグ&ドロップでクライアント側に持ってきていました。








Social Editionの小ネタも披露していました。この画面の左上を見ると、メールやカレンダーのタブがアイコン化されているのがわかります。Firefoxのピン留め機能みたいなものがノーツでも使えるということのようです。僕もFirefoxのピン留めは使っていますが、あれは画面が有効活用できて気に入っています。










これはメール受信ボックスで、メールを、"今日"、"昨日"、"一週間"、"それ以降"みたいなかたちでカテゴライズして表示できるというものです。僕自身は使わないだろうなぁと思うけど、この機能が欲しいお客様が沢山いらっしゃったということなのでしょうね。











これはビューからのクイック検索で、列が指定できるようになったというものです。件名でさくっと検索したいときに便利そうです。













オープニングジェネラルセッションで歓声の湧いていたブラウザのノーツプラグインについても説明がありました。ここでは、"Notes Application Player"と言っていますね。これが正式な機能名になるのでしょうか。WindowsかつFirefoxのみとのことです。メールが動かないとありますが、iNotesがあるから、まぁこれはいいんじゃないでしょうか。多分、Java Viewには対応してないからなんだと思います。しかしこの機能は、Web化を考えられているお客様には本当にインパクトのある話ですね。既存資産のWeb化コストは、XPagesでやるといってもそれなりにかかるでしょう。そのコストがNotes Application Playerで削減できるなら、Web化の勢いがさらに強くなるでしょうね。





Social Edition以降の話も少しありました。なんと分析機能が実装されるようです。現在、Swift Fileというメール自動フォルダー振り分け機能がアドオンで利用できますが、それを引き合いに出して説明していました。どんな機能が実装されるようになるか楽しみです。










■Connections API

次はこのセッションです。IBMのSocial Business戦略の1つに、"Social Everywhere"というのがありますが、それを実装するベースとなるのが、各製品機能にアクセスできるREST APIです。このセッションでは、ConnectionsのREST APIをつかったNotesのプラグイン開発をモチーフに細かくコードを出しながら説明していました。







そのノーツプラグインがこれです。メールを選択すると、宛先に入っている人の情報をサイドバーに表示できるというものです。表示できるだけでなく、その人がConnections上にもっているファイルやつながっている人などの情報にダイレクトにアクセスできます。IBM社内では、実はこれと同じようなプラグインを使っており、かなり便利です。Connectionsでなくても、自社の社員ディレクトリに合わせて作ることができるので、ノーツプラグインの活用としては最もポピュラーなケースになりそうです。






さらに、今後出てくるConnectionsのWindows Explorer用プラグインの話も出ていました。僕は、このベータ版を自分のPCにインストールしていますが、便利です。特に、これからConnectionsを導入する企業においては、ファイル登録を活性化させるのに大変活躍してくれると思います。ブラウザーからファイルをアップロードするのって、結構、手間になりますよね。それが、Windows Explorerでできるのであれば、活用が進むと思います。






■iNotes Next

僕が出席するLotusphere最後のセッションがiNotesです。スピーカーは、日本にも来てくれたことのあるiNotesのアーキテクトであるVinod Seraphinです。Vinodのセッションはいつもつっこんだところまでデモで説明するので、良いです。


iNotesもNotes Social Editionと同じことができます。Embedded Experience対応になるということです。また、Connections Mailの実装は、Vinod達がやっているみたいですが、それは、Dojo1.7ベースで実装されます。iNotes全体がDojo1.7が活用されたものになるみたいです。


ConnectionsのFiles機能とも連携するようになります。NotesプラグインでできているようなことがiNotesでもできるようになります。ソーシャルファイル共有との統合といったところでしょうか。


タブレット対応も進みます。現在のiNotesは、iPadで見ると、ウルトラライトモードで出てくるので、大画面を生かせていません。それがちゃんとタブレットの画面を活かした画面になります。




この画面を見ると、カレンダー画面がさらにきれいになりますね。ウィジェットがサイドバーに配置されているのもわかります。ウィジェットはEmbedded Experienceに必要な機能になるので、ちゃんとNotesと同じように実装されるのでしょう。会議招集の空き時間の調整もNotesと同じようにできるようになります。iNotesでも、みんなの空き時間をこんな形で、マウスでドラッグしながらセットすることができます。Dojo 1.7を活用して作っているらしいです。






ここまでで、はてなで一日に可能な量を超えて画像を貼りつけたようで、此処から先は画像なしです。すみません。



ConnectionsのFiles機能との統合もデモしていました。もらった添付ファイル付メールで、その添付ファイルをConnectionsにダイレクトに保存することができるデモです。また、メールにConnections上からファイルを選んでリンク貼付けできます。貼付け後は、Notesでやっているのと同じイメージのリンク画像が貼りつけられます。



Embedded Experienceのデモも行われました。8.5.3からウィジェットカタログがXPages化されましたが、そこからドラッグアンドドロップで、iNotesのサイドバーのウィジェット部分に持ってきます。ウィジェットカタログのXPages化は、Embedded Experienceのために実装されたんですね。デモは、Notesのセッションの時とまったく同じく、出張申請、アンケート、UPSの3つと、YouTubeの画像埋め込みが披露されていました。



あとは、ソーシャルメールのデモと、Notes Applicatoin Playerのデモがありました。Notes Applicatoin Playerでは、開くときに、Notesと同じようにちゃんとNotes IDのパスワードが聞かれるダイアログが出ます。ロケーション文書の選択まで出ていたので、Notes IDや個人アドレス帳がどんな形で実装・必要になるのか、今後、見極めなければいけませんね。デモではディスカッションDB中の文書を出していましたが、タブ付表も含めてちゃんと表示できていました。



最後に、次バージョンで実現される以下の機能が、実は8.5.3でnotes.iniに、あるパラメータをセットすることで評価的に使用できることが紹介されていました。僕もテストしてみようと思います。

  • HTML5によるファイルのドラッグ&ドロップ貼付け
  • CSVによる個人アドレス帳へのデータ取り込み
  • iPad対応の画面
  • Webスライス(ブラウザーのブックマークバーからメールやカレンダーにアクセスする機能。Connections Mailみたいな感じ)

■その後
iNotesのセッションが終わったあとは、僕が所属するTiger Teamのミーティングです。日本から行くIBM社員は、なにがしらかのこういったグローバルチームのミーティングがセットされています。日頃、Connections上やメール、Sametimeでしかやりとりのないメンバーと顔を合わせて会話すると、一挙に距離感が縮まりますね。ソーシャルは、リアルとの併用が大事なんだと改めて感じました。





今回のLotusphereの内容は、日本で行われる春のイベントでフィードバックされる予定です。僕は、今のところ、Notes/Domino系のセッション講師を担当する予定です。まぁでも、内容はここで書いたものがほとんどになるでしょうから、このブログを読んでいただいた方は他のセッションに出られたほうがいいかも。当日は、デモや機能拡張の背景、この後判明すること、などを盛り込んで説明いたします。皆様、ぜひお越しください!

Lotusphere 2012 〜 2日目

あれよあれよという間に2日目です。
沢山興味深いセッションがあるのですが、セッション時間帯が重なっていたり、社内業務やお客様ミーティングなどもあり、とても全部は出られません。そんな中、モバイル系とDominoサーバー系の話がわかりましたので書いてみます。


■モバイル

出席したのは、モバイル対応全体のストラテジーを説明するこのセッション。Lotus製品は、去年末までに21のコラボレーションソリューションに対して、44回の新規リリースをしており、既に既存の製品のモバイル化というのはかなり進んでいます。このセッションでは、モバイル対応戦略の中で、今までどんな製品をモバイル対応させてきたのか、これからどうするのか、が語られていました。








IBMはモバイル対応を全方位的に考えていることを示すアーキテクチャーのチャートです。エンドユーザーが触る部分では、ネイティブアプリ、Webアプリ、そして、Mobile Siteという3つで考えています。使いかってや開発の生産性などのトレードオフがあるので、選択肢を用意しています。"Mobile Site"というのは、ミドルウェアで既存のWebサイトをモバイル用に変換するような形態のことを指しています。例えば、ポータル画面をモバイル対応させるためのミドルウェアがありますが、それが該当します。


この図で特に注目したいのは、真ん中らへんにあるDevice Managementの層です。ここでちゃんとセキュリティを担保するということです。デバイスをなくした場合にそなえて、リモートでデータ消去できたり、パスコードを強制させたりといった機能を提供します。実装としては、Travelerがもうそのような機能を提供していますね。それに加えて、Tivoliブランドからもっと包括的なソリューションが出てくる予定です。つまり、Travelerの対象としているメール・カレンダー以外の部分も含めて、ネイティブアプリのコントロールなどを対象としてくるということです。今、世の中にはMobile Device Management、略してMDMというカテゴリの製品、サービスが増えていますが、そこにIBMも参戦するということですね。




先の図の中にはWindows Phoneがなかったのですが、ちゃんとプランしています。まずはTraveler対応ということですが、順次、SametimeやConnectionsも対応していく模様です。











ひとしきり既存のモバイル対応の話が終わったあとに、デモです。デモは、Cris Crummyが担当していました。Tiger Teamの僕の上司です。Lotusphereに行く機会がありましたら、彼の出るセッションへの出席をお勧めします。リードエバンジェリストの肩書きを裏切らない素晴らしいデモをします。










ここでモバイル対応ツールの話です。XPagesもきっちり入っています。注目は、"IBM Mobile Technology"と書かれている部分です。これは、ネイティブアプリとモバイルWebアプリのハイブリッド型を作るツールです。ネイティブアプリは、オブジェクティブCなど、独自言語を覚えなければならない代わりに操作性が良いです。Webアプリは、ネイティブアプリに比べて操作性やパフォーマンスに劣りますが、標準Web技術で作成できるというメリットがあります。この2つのメリットをいいところどりしてハイブリッド型で提供しようという考えですね。これはIBMオリジナルというわけではなく、他社もいくつか出しているのを知っていますが、IBMが提供するとどんな形になるのか、今から楽しみです。




最後に、将来計画として構築中の製品のデモです。またCris Crummyの登場です。オープニングジェネラルセッションでも使われていた、このタブレットインターフェースを見せていました。これは、"Project Libretto"というコードネームで開発中のものです。いろんなソーシャルストリームを統合して見えるのですが、人に注目してその人が作成したコンテンツをフィルタリングしたり、キーワードに注目してそのキーワード関連のコンテンツをフィルタリングするというようなデモをしていました。Librettoというのは台本という意味です。人のつぶやきをまるで劇の台本のような感じで、タブレットから見るということなのでしょう。ここでも人中心、ソーシャルです。




この画面、Andoriodタブレットから見たTravelerのメール画面です。良くみると、メール文書の左横にSametimeの在席確認マークが見えます。ここからチャットを開始するデモをやっていました。やはり、モバイルにおいても、いろんなコラボレーションツールが統合されるという方向性なのですね。早くこれを出して欲しいですね。お客様にデモをするのが楽しみです。








■Dominoサーバー
Notes Social Editionに比べて、Dominoサーバー側の将来計画は地味ですねぇ。ユーザーからは見えない部分なのでしょうがありませんけど。しかし、ソーシャル対応するのに重要な基盤技術が実装されるようです。


まずは、SAML対応。SAMLというのは、異なるサーバー間でシングルサインオンするための業界標準の仕組みです。特に、SaaSなど、インターネット上にあるサービス間や、それらとイントラネット内のサーバーとのシングルサインオンなどに使われることが想定されます。現状のシングルサインオンの仕組みは、Cookieがベースだったりするので、DNSドメインを超えたSSOができないんですよね。SaaSの時代、それではだめです。なので、SAMLみたいな仕組みが登場してきて注目されています。そこにDominoも今後対応していくことになります。メールなどのツールはパブリッククラウドサービスを使いながら、業務アプリは社内Dominoサーバーを利用するというシーンが今後多くなると思われますが、そのような時でもシングルサインオンが可能となるわけです。ちなみに、SAML 1.1、2.0に対応予定のようです。



そして、OAuth対応です。Facebookアプリでよく、「アプリが〜の許可を求めています」と聞かれますよね?あれがOAuthです。アプリケーションがFacebookのユーザーデータにアクセスするためには、普通に考えたら、その人のユーザーIDとパスワードが必要ですが、パスワードをアプリの提供者に教えるのは嫌ですよね。そこを、教えなくても認証できるように考えられたのがOAuthという仕組みです。これもDominoサーバーアプリのソーシャル対応には必要な基盤ですね。



ソーシャルとは関係ないですが、ベタな拡張として、"Database Management Tool"というのが計画されています。compact, updall, fixupなどのデーターベースメンテナンスタスクがありますが、それらをスケジューリングしたり、並行してスケジュール実行させたり、fixupをやってからupdallをやるなどの実行順番をもたせたり、そんなことができるツールのようです。この機能、今まで世の中では苦労・苦心しながらバッチプログラムなんかを作ったりして対応していたんですよねぇ。それが標準機能で提供されます。ここが一番、歓声が上がって受けていました。



■番外編


Lotusphereの会場では、この写真のように、セッションの変更案内だとかを表示しています。実はこれ、Notes/Dominoで作られています・・・・ということを、パートナーレセプションの夜にお会いしたこちらの開発者の方から聞きました。ノーツでデジタルサイネージ!といっていいでしょう。データ自体は、1つの文書なのですが、フォームを変えて、このように出したり、ブラウザでアクセスしたりといったことをやっています。ノーツが持つ、データとユーザー・インターフェースの分離の仕組みがうまく活用されている例ですねぇ。










さて、今日は3日目。Notes Social Editionの詳細や、iNotesのことを聞いてくる予定です。また、今日は毎年やっているLotusphere Partyの日です。今年はSeaWorldというところを貸し切る予定です。SeaWorldは鴨川シーワールドみたいなところらしいですが、もっと巨大なんでしょうね。僕の苦手な絶叫マシンもきっちりあるようです。


それではまた。

Lotusphere 2012 〜 オープニングジェネラルセッション

今日からLotusphere2012の本番です。まずは、オープニングジェネラルセッション(OGS)です。ここで、粗方の新発表が行われます。ここさえ抑えておけば、今年のLotusphereがどうなのか把握できるといってもいいでしょう。




今年のメッセージは、"Business. Made Social"でした。この言葉からは、今年はドンドン企業にソーシャルが取り入れられていく様子が感じられます。去年が、"Get Social, Do Business"であり、ソーシャルに行こう!というメッセージだったので、一歩進んだ感じでしょうか。










Lotusの総責任者であるアリステアから出されたのがこのメッセージ。去年はSocial Business Frameworkとして出されたものに、Analytics(分析)が追加されたのが大きく変わったところでしょう。でも、IBM Social Business Frameworkは、これでは表現できていません。昨日のナイジェル・ベックのセッションで表現されていた図の方が全体像を表しています。ナイジェルと会話する機会があったので聞いてみたら、OGSで使われた図はOGS用に簡略化されたものだということです。


さらにアリステアは、Collective Intelligenceに言及します。集合知のことを言っているのかと思いきや、ソーシャルストリームの分析のことのようです。分析はやはり今回のキーですね。さらに、「テクノロジーが問題じゃない、とよく言うけれど、テクノロジーは大事だ。ビジネスとテクノロジーの両輪なんだ」とアリステアは続けます。ソーシャルをプラットフォームとして考えて、その上でビジネスが構築されるというイメージでしょう。そのためのIBM Social Business Frameworkという位置づけだと思います。





次は、ソーシャル系の責任者であるジェフ・シックから、Connections Nextの発表がありました。Activity Streamに対応し、そこにサードパーティ製品(Trilog, SAP,などが挙げられていました)が通知を送って、OpenSocialガジェット経由でそのサードパーティ製品の操作を別アプリを立ち上げることなくできるというものです。そこでは、ハッシュタグやコンテンツのプレビューなどの機能が取り込まれます。さらにこのActivity Streamは、コミュニティ単位でも提供することができます。分析系も標準機能として拡張され、コミュニティの活性度をレポートするような目的の機能が入ってきます。言ってみれば、facebookやtwitterでみんな使っている機能が取り込まれて、さらに企業での運用をサポートするために分析機能が拡張された、ということでしょうか。




Connectionsの機能として、Connections Mailというものが発表されました。Connectionsの画面から、ノーツやExchangeやその他のメールサーバー上のメールやカレンダーに簡単にアクセスできるというものです。"Connections Mail"という名前が紛らわしくて、会場ではConnectionsがメール機能そのものを提供するようになると勘違いされるケースが見受けられましたが、そうではないです。Connectonsがメールクライアントとなって、バックエンドのメールサーバーにアクセスするということです。Activity Streamが実装されれば、そっちを中心に見るようになって、メールの利用は低下します。しかし、インターネットメールを始め、まだなくならないので、どこからでもパッとアクセスできるようにConnections上のメニューバー上にメールへのアクセスを用意したと理解できます。今までコミュニケーションの主役だったメールが一歩後退して、その座をActivity Streamに渡すということなのでしょう。




そして、IBM Docsの発表です。いわゆるブラウザーで利用できるオフィスツール(表計算、ワープロ、プレゼン)です。Google Docsなどが有名ですが、IBMもLotusLive Symphonyという形で出していました。それが今回、IBM Docsというネーミングで、クラウドでもオンプレミスでも提供されます。”オンプレミスでも提供される”というところがポイントですね。セキュリティに敏感な企業でも、オンプレミスなら安心です。そしてこれがConnectionsと連携して、Connectionsのファイルコンテンツとして管理できるようになるのです。Web共同編集がソーシャルでさらに加速されるということですね。







ConnectionsとPolycomの連携がデモされていました。Connectionsのコミュニティメンバーとこんな感じでリアルタイムに会話できるというものです。













そしてソーシャルモバイル。この画面にあるような、タブレットを対象として、ソーシャルストリームをまとめて確認できるインターフェースを開発中とのことです。












ブログなどのコンテンツは、雑誌をめくるような感覚で読めます。iPadで人気のあるアプリケーションでFlipboardというのがありますが、それと同じような感じですね。












モバイルでも分析です。ここで出ているのは、ConnectionsやFacebookやtwitter上で自分に最も関係しそうなコンテンツをお勧めとして出している画面です。沢山のソーシャルストリームからどれが有用なものなのかを判断してチェックするのに強力な機能となるでしょう。









そして、ノーツです。Notes Nextと呼んでいたものが、"Lotus Notes Social Edition"という形で出てきます。Connections Nextで実装されるActivity Streamが実装され、画面を切り替えなくても他のアプリが操作でき、Project VulcanでデモしていたようなことがNotesに実装されてきます。Activity Stream自体はConnectionsがサーバーとして機能は提供し、Notesクライアントからもアクセスできるということです。これはバージョン9ということではなく、8.5.4のフィーチャーみたいな形で提供されるようです。まぁ、新しいユーザーインターフェースがNotesにかぶさると言えるでしょうから、アーキテクチャー的には大きな変更ではないからでしょう。ただ、ソーシャルなUIが追加されるということで、それは大きなインパクトがあります。ちなみに、"Project Vulcan"というのは、もう積極的には言われなくなります。製品にProject Vulcanの考え方がもう実装されるからですね。ケビン・キャバナー曰く、「Project Vulcanは言われなくなるが、それぞれの製品のなかにProject Vulcanは生きている」とのことです。




今回、一番会場を沸かせたのは、この"Notes Application Browser Plug-In"だと思います。なんと、ノーツクライントの機能をブラウザーのプラグインに実装してしまったというのです。Web上で文書リンクのURLがあっても、その先がWeb対応されていないと表示できませんが、このプラグインを入れれば、ノーツクライアントを入れることなく、既存のノーツDB資産にアクセスできるのです。OGSのデモでは、文書を表示させることを行なっていました。だから、フォームしか対応していないのかなと思いきや、OGSに登壇したケビン・キャバナーと話す機会があったので確認したところ、ほとんどの設計要素が動くようです。Java設計要素などの比較的あたらしめのやつは対応していないのですが、トラディショナルなノーツアプリはOKということです。LotusScriptも動きます。これは、Lotus Notes Social Editionと同じタイミングで提供されるようです。




さて、OGSでの発表内容は、ポータルやクラウドなど、まだまだあったのですが、僕が主にチェックしたのはこんなところでした。今日からの個々のブレークアウトセッションで詳細が明らかになるでしょう。相変わらず時差ボケと寝不足で、集中力は底辺をさまよっていますが、がんばって聞いてきます。