コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

Alloyはミドルウェア

Lotus NotesとSAPの連携を実現する"Alloy"(アロイ)のV1.0が販売開始となっている。Alloyを使えば、メールボックスをインターフェースとして、SAPの業務プロセスを行うことができる。僕はSAPのことはほとんど知らないのだが、使っている人から聞くと、SAPは、ユーザーとして使うにもかなりハードルが高く、ある程度ユーザートレーニングをしっかりやらないといけないらしい。Alloyではその点を改善すべく、日ごろ使い慣れたノーツのメールボックスと連携させることにより、誰でも使えるようにして、もっとSAPのプロセスやデータをエンドユーザーに活用してもらおうという狙いの製品だ。そうすることで、プロセスをよりスピーディーに進めることが出来たり、ディシジョンメイキングの精度を上げたりといったことにつながる。


しかしこのAlloyという製品、IBM社内でも誤解が多い。V1.0では、出張申請、休暇申請などのワークフローアプリケーションが提供されている。それだけ聞くと、"使えない" と思われてしまうのだ。出張申請、休暇申請などは基本アプリなので、既に何らかの形でシステム導入されているだろうから、Alloyをわざわざ入れる必要はないと思われるからだ。しかし、Alloyの価値は、提供されるアプリケーションにあるのではない。Alloyは、ノーツとSAPを連携させるプラットフォーム、ミドルウェアというのがもうひとつの側面であり、これがAlloyの価値だ。つまり、お客様のSAP業務をノーツインターフェースで行えるようにカスタマイズする基盤を提供するということだ。カスタマイズ方法は、ノーツ側は@関数やLotusScriptなどの従来のノーツ開発手法を使う。SAP側も枯れた技術であるABAPを使う。Alloyによってシステム間連携の難しい部分は隠蔽され、業務部分の開発に注力でき、カスタマイズは従来手法が使える。V1.0では、カスタマイズできる範囲がかなり限られてしまうのだが、今後、フルカスタマイズできるように提供する予定らしい。


ちなみに、Alloyというのは辞書を引くと"合金"という意味であるのが分かる。金属というのは、違う種類のものを合わせると、それぞれの金属よりもより硬い、強い金属となる性質がある。Alloyというネーミングには、SAPとIBMの連携を、合金の性質に照らし合わせているというわけなのだ。Lotusphere2009では、販促用に以下の超合金ロボットが配られていた。一応、おもちゃじゃないということで、"For Adult Use Only"とラベルが貼ってある。これを見て、「これじゃアロイじゃなくて、エロイ、だな」だなんて下品な冗談が社内で出ていたが、IBMの品位に関わるので、このことは秘密である。