コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

IMAPとiNotesの共存方法

1つのメールDBを、IMAPでもiNotes(旧Domino Web Access)でもアクセスしたいとしよう。ユースケースとしては、日頃はIMAPクライアントを使っているのだけれど、出張先で共有PCを使う時はiNotesでアクセスしたいというような時だ。


ノーツは、いろんな方法で1つのメールDBをアクセスできる。専用クライアントであるLotus Notes、ブラウザアクセスのLotus iNotes、スマートフォンからリモートアクセスするLotus iNotes ウルトラライトモード、スマートフォンから同期アクセスするLotus Notes Traveler、POP、そしてIMAPだ。iNotesとIMAPの両方でアクセスするというのは、もうだいぶ前からできるようになっている。実際に運用されているお客様もいらっしゃる。



しかし、ひとつ問題がある。それは、送信済みフォルダやドラフトフォルダといった、いわゆるIMAPの特殊フォルダというものが同期できないのだ。例えば、出張先でiNotesでメールを作成して送信し、さらにドラフトメールを作っておいたとする。出張から帰って来て、自分のPCのIMAPクライアントで見た場合、送信済みフォルダやドラフトフォルダには、それらは見えない。


これは、ノーツの構造によるものだ。ノーツには、フォルダとビューがある。このうち、IMAPクライアントと同期できるのはフォルダのみだ。受信ボックスやユーザー作成フォルダなどが当たる。ビューは同期できない。前述のドラフトや送信済みは、ノーツではビューで実装されている。だからIMAPのフォルダと同期できない。


この点が、Lotus Notes/Domino 8.5.2 で改善された。サーバーの notes.ini パラメータに、EnableImapFolderSynch=1 というパラメータが提供されるようになった。このパラメータを仕掛けておくと、IMAPクライアント上のドラフト、送信済み、ごみ箱フォルダが、iNotes、Notes上の対応するビューと双方向で同期するようになる。つまり、ビューとフォルダの構造上の違いを吸収してくれるのだ。


それぞれのクライアントから見た場合、以下の画面コピーのように、IMAPとiNotesのフォルダ、ビューが対応して同期するようになる。



1つ注意点。管理者マニュアルの端っこに、IMAPの設定時には、convert -m を実施するとあるが、これは間違いだ。convert -m は必要ない。実行してしまうと、挙動がおかしくなるので、絶対してはいけない。



IMAPとiNotesまたはNotesを併用している方はおられるだろうが、そのほとんどは、1人のユーザーがどっちも使うという利用方法ではなく、あるユーザーはIMAP、別のあるユーザーはiNotes、という運用の仕方になっていると思う。そもそも、同一ユーザーが両方使うという要件がないのかもしれないが、それがフォルダの同期が問題でそうしているのだとしたら、8.5.2のこのパラメータはお勧めだ。