コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

Google+ for Enterprise

世の中のアーリーアダプター(いや、まだイノベーターか)は、Google+ 対 Facebookの観戦で盛り上がっているようだ。


その一方でもう一つの戦いがある。エンタープライズ市場でのソーシャルウェアプレーヤー 対 Google+だ。


Google+はまだ出たばっかりのベータである。しかし、近い将来、Google Appsに入ってくるだろう。そうすると、Chatter、Yammer、Jive、socialtext、IBMなどのエンタープライズソーシャルプレーヤーと競合になる。


Google Appsと統合される頃には、メール、カレンダー、検索、RSSリーダー、文書管理などのコンポーネントと現時点よりも密に統合されていることだろう。ソーシャルは新しいツールなだけに、エンドユーザーに使ってもらうのはなかなか難しい。しかし、日頃よく使うメール画面などと統合されていれば、自然と使うのではないか。ここは、ツールを統合的に提供しているベンダーの強みだ。


ただ、エンタープライズで利用するには、クリアしなければならない壁があるだろう。機能要件、非機能要件、いろいろあるが、機能面から大きく以下の3つを挙げたい。


1.セキュリティ。現在のGoogle+のサークル機能は、企業が求めるセキュリティにはならない。ポストを共有する際に、共有する先のサークルの指定を間違えれば、情報漏洩となる。企業利用では、パブリックにオープンな今のGoogle+の仕様は有り得ないので、エンタープライズ用に、自社内に完結させるか、企業間でセキュアに利用できるように、サークルの機能を拡張しなければならない。他にセキュリティ面では、ACL制御、暗号化、監査機能などがポイントとなってくるだろう。


2.ユーザーディレクトリ。企業ソーシャルでは、プロフィール情報をいかにメンテナンスし、KnowWho効果を出していくかが大きなポイントになる。そのベースとなる基本情報は、メンテナンス上、エンタープライズディレクトリと連携させる必要がある。また、情報共有の範囲が、Googleアカウント取得者のみというのも、企業間コラボレーションをする上ではネックとなるだろう。企業間コラボを指向するのであれば、この点も改善ポイントだ。


3.業務アプリ連携。業務は必ず人間が動かし、他の社員と話し合いながら進める。そこにはどういう形であれ、コラボレーションが発生する。そのコラボレーションを加速させるのがソーシャルだ。ソーシャルは、ソーシャルウェアの中だけで閉じていてはもったいない。業務アプリケーションと連携してこそ、企業内では効果がでてくる。Chatterが、CRM, SFAと連携できる点が受けているのもそういう理由からだ。Google+には、CRM, SFAだけでなく、幅広い社内業務アプリと連携できる機能を期待したい。




さて、1つ気になるのは、「Google+は強制的に導入されてしまうのか」という点だ。Google AppsはSaaSなので、基本的には全てのGoogle Appsのお客様に適用されるものだと思う。


ソーシャルについて、お客様と会話すると、文化に合わないから入れたくないという意見をよく聞く。ソーシャルは、人の持っている情報を可視化し、人と人を結びつけてコミュニケーションを活性化させる。一見良さそうだ。しかし、業界によっては、コンプライアンス上、社員が持っている情報を可視化したくないというところはある。また、組織を超えたコミュニケーションは、組織機能を壊す、とソーシャルを避ける会社もある。


そんなところにも、Google+は強制適用されるのか。適用された結果、心配は杞憂だったとなるのか、問題が噴出するのか。前者であれば、Google+は、エンタープライズソーシャルウェアの浸透に大きく貢献することになる。ソーシャルは、やってみて初めて効果が実感できるというところがあるので、強制適用も、企業によっては悪くない。


Google+があと何ヶ月でリリースされるのか、そして果たしてGoogle Appsに統合されるのかは未定だ。しかし、行方がどうなるか非常に興味深い。