コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

IBMの5年後未来予測とコラボレーション

5 in 5と呼んでいるIBMの未来予測が今年も出されて、YouTubeに公開されている。英語の音声だけれども、日本IBMのプレスリリースでは、日本語の訳が書かれている上、補足もされている。



これを見ると、最初のエネルギー以外の以下の4つは、コラボレーション・エリアに影響がありそうだ。


■セキュリティ
網膜スキャンや声紋認証など、DNAレベルでユニークに認識される情報がパスワードの代わりにシステムにアクセスする際の認証となるというもの。指紋認証など、生体認証を使った認証システムはもうあるけれど、それがさらに進んでいくということなのだろう。パブリッククラウドサービスの採用を躊躇させる懸念の1つはセキュリティだが、こういったDNAレベルのセキュリティが担保されれば、パブリッククラウドサービスは一気に広がり、企業間コラボレーションがもっと進むかもしれない。


■マインド・リーディング
コンピューターが脳波を読むことで医療などに役立てるというもの。さらに進めば、相手を思い浮かべるだけで電話をかけたり、メッセージを送ったりすることができる。僕はよく同僚とユーザーインターフェースの話になると、この話を出していたのだが、やっぱり研究されていたんだなぁ。ソーシャルネットワークでは、各ユーザーがメディアとなって情報をどんどん出すようになるが、マインド・リーディングが実現されれば、それがもっと進むんだろう。その世界では、"つぶやく"ではなく、"思う"になるのか。


■モバイル
全世界70億人のうち、80%がモバイルデバイスを持つようになるという。そうすると、識字率の低い国でも音声などを使ってITが活用される。これは、最近、マーク・アンドリーセンが言っていることと符号する。もうこうなると、企業ユーザーは100%モバイルデバイスを持つようになるわけだ。この上で、いつでもどこでも情報発信、コラボレーションできる環境が出来上がる。


■分析
大量の広告メールは、今では単なる迷惑メールにしかすぎないけれど、分析システムが進めば、それはパーソナルレコメンデーションが効いた役に立つメールとなりえるというもの。分析には大量の元情報と個人情報が必要だが、先のマインド・リーディングやモバイルにより、その量が爆発的に増えることが考えられる。そうなると、あとはリアルタイムに高速に分析できるシステムがあれば、このビデオで言っていることが実現できるかもしれない。ただ、レコメンデーションの通知は、メールではなく、ソーシャルネットワークを介してやってくるのだろう。企業内であれば、やらなければならない事務作業、自分の担当する製品の見込み客、提案書に入れたほうがいい市場データ、現在発生している問題を解決してくれるかもしれない社員、などを自分から探しに行かなくともシステムが自分に知らせてくれる。なんかこうなると、情報の発信と分析に取り組む企業とそうでない企業には、大きな差がついてしまうのが眼に見えてくる。




この5in5は毎年公開されていて、過去のやつを見ると、幾つかはもう実現されている。決して単なる未来予測ではなく、IBMの研究開発に基づいた現実味がある程度あるものなのだ。もう今年も終わりだけれど、来年2012年の年末にはいくつか実現されているかもしれない。