コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

Lotusphere 2012 〜 オープニングジェネラルセッション

今日からLotusphere2012の本番です。まずは、オープニングジェネラルセッション(OGS)です。ここで、粗方の新発表が行われます。ここさえ抑えておけば、今年のLotusphereがどうなのか把握できるといってもいいでしょう。




今年のメッセージは、"Business. Made Social"でした。この言葉からは、今年はドンドン企業にソーシャルが取り入れられていく様子が感じられます。去年が、"Get Social, Do Business"であり、ソーシャルに行こう!というメッセージだったので、一歩進んだ感じでしょうか。










Lotusの総責任者であるアリステアから出されたのがこのメッセージ。去年はSocial Business Frameworkとして出されたものに、Analytics(分析)が追加されたのが大きく変わったところでしょう。でも、IBM Social Business Frameworkは、これでは表現できていません。昨日のナイジェル・ベックのセッションで表現されていた図の方が全体像を表しています。ナイジェルと会話する機会があったので聞いてみたら、OGSで使われた図はOGS用に簡略化されたものだということです。


さらにアリステアは、Collective Intelligenceに言及します。集合知のことを言っているのかと思いきや、ソーシャルストリームの分析のことのようです。分析はやはり今回のキーですね。さらに、「テクノロジーが問題じゃない、とよく言うけれど、テクノロジーは大事だ。ビジネスとテクノロジーの両輪なんだ」とアリステアは続けます。ソーシャルをプラットフォームとして考えて、その上でビジネスが構築されるというイメージでしょう。そのためのIBM Social Business Frameworkという位置づけだと思います。





次は、ソーシャル系の責任者であるジェフ・シックから、Connections Nextの発表がありました。Activity Streamに対応し、そこにサードパーティ製品(Trilog, SAP,などが挙げられていました)が通知を送って、OpenSocialガジェット経由でそのサードパーティ製品の操作を別アプリを立ち上げることなくできるというものです。そこでは、ハッシュタグやコンテンツのプレビューなどの機能が取り込まれます。さらにこのActivity Streamは、コミュニティ単位でも提供することができます。分析系も標準機能として拡張され、コミュニティの活性度をレポートするような目的の機能が入ってきます。言ってみれば、facebookやtwitterでみんな使っている機能が取り込まれて、さらに企業での運用をサポートするために分析機能が拡張された、ということでしょうか。




Connectionsの機能として、Connections Mailというものが発表されました。Connectionsの画面から、ノーツやExchangeやその他のメールサーバー上のメールやカレンダーに簡単にアクセスできるというものです。"Connections Mail"という名前が紛らわしくて、会場ではConnectionsがメール機能そのものを提供するようになると勘違いされるケースが見受けられましたが、そうではないです。Connectonsがメールクライアントとなって、バックエンドのメールサーバーにアクセスするということです。Activity Streamが実装されれば、そっちを中心に見るようになって、メールの利用は低下します。しかし、インターネットメールを始め、まだなくならないので、どこからでもパッとアクセスできるようにConnections上のメニューバー上にメールへのアクセスを用意したと理解できます。今までコミュニケーションの主役だったメールが一歩後退して、その座をActivity Streamに渡すということなのでしょう。




そして、IBM Docsの発表です。いわゆるブラウザーで利用できるオフィスツール(表計算、ワープロ、プレゼン)です。Google Docsなどが有名ですが、IBMもLotusLive Symphonyという形で出していました。それが今回、IBM Docsというネーミングで、クラウドでもオンプレミスでも提供されます。”オンプレミスでも提供される”というところがポイントですね。セキュリティに敏感な企業でも、オンプレミスなら安心です。そしてこれがConnectionsと連携して、Connectionsのファイルコンテンツとして管理できるようになるのです。Web共同編集がソーシャルでさらに加速されるということですね。







ConnectionsとPolycomの連携がデモされていました。Connectionsのコミュニティメンバーとこんな感じでリアルタイムに会話できるというものです。













そしてソーシャルモバイル。この画面にあるような、タブレットを対象として、ソーシャルストリームをまとめて確認できるインターフェースを開発中とのことです。












ブログなどのコンテンツは、雑誌をめくるような感覚で読めます。iPadで人気のあるアプリケーションでFlipboardというのがありますが、それと同じような感じですね。












モバイルでも分析です。ここで出ているのは、ConnectionsやFacebookやtwitter上で自分に最も関係しそうなコンテンツをお勧めとして出している画面です。沢山のソーシャルストリームからどれが有用なものなのかを判断してチェックするのに強力な機能となるでしょう。









そして、ノーツです。Notes Nextと呼んでいたものが、"Lotus Notes Social Edition"という形で出てきます。Connections Nextで実装されるActivity Streamが実装され、画面を切り替えなくても他のアプリが操作でき、Project VulcanでデモしていたようなことがNotesに実装されてきます。Activity Stream自体はConnectionsがサーバーとして機能は提供し、Notesクライアントからもアクセスできるということです。これはバージョン9ということではなく、8.5.4のフィーチャーみたいな形で提供されるようです。まぁ、新しいユーザーインターフェースがNotesにかぶさると言えるでしょうから、アーキテクチャー的には大きな変更ではないからでしょう。ただ、ソーシャルなUIが追加されるということで、それは大きなインパクトがあります。ちなみに、"Project Vulcan"というのは、もう積極的には言われなくなります。製品にProject Vulcanの考え方がもう実装されるからですね。ケビン・キャバナー曰く、「Project Vulcanは言われなくなるが、それぞれの製品のなかにProject Vulcanは生きている」とのことです。




今回、一番会場を沸かせたのは、この"Notes Application Browser Plug-In"だと思います。なんと、ノーツクライントの機能をブラウザーのプラグインに実装してしまったというのです。Web上で文書リンクのURLがあっても、その先がWeb対応されていないと表示できませんが、このプラグインを入れれば、ノーツクライアントを入れることなく、既存のノーツDB資産にアクセスできるのです。OGSのデモでは、文書を表示させることを行なっていました。だから、フォームしか対応していないのかなと思いきや、OGSに登壇したケビン・キャバナーと話す機会があったので確認したところ、ほとんどの設計要素が動くようです。Java設計要素などの比較的あたらしめのやつは対応していないのですが、トラディショナルなノーツアプリはOKということです。LotusScriptも動きます。これは、Lotus Notes Social Editionと同じタイミングで提供されるようです。




さて、OGSでの発表内容は、ポータルやクラウドなど、まだまだあったのですが、僕が主にチェックしたのはこんなところでした。今日からの個々のブレークアウトセッションで詳細が明らかになるでしょう。相変わらず時差ボケと寝不足で、集中力は底辺をさまよっていますが、がんばって聞いてきます。