コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

ループスさんも企業内ソーシャルに注目

ビジネスでソーシャルというと、ソーシャルメディアを活用して顧客接点を云々という視点がほとんどで、その分野の先駆者がループスさんだと思います。そのループスの斎藤さんが”企業内にソーシャルの仕組みを 〜 エンタープライズ・ソーシャルネットワーク導入の要諦”というタイトルでエントリをアップされています。いよいよループスさんも企業内でソーシャルを活用する方向に目を向け始められましたね。このエントリの中に、企業内ソーシャルについてコンパクトにまとまっているので、ぜひご覧頂きたいです。


企業内ソーシャルというと、社内コミュニケーションの活性化という文脈で語られることが多いのですが、それと同じかそれ以上に重要なのが情報共有の活性化です。このエントリでは、そこまで言及されています。


コミュニケーションと情報共有はごっちゃにされがちですが、企業内においては、明確に分けるべきだと僕は思っています。企業内の情報は、ファイルやLotus Notes文書のような形で表現され、それを如何に抽出・可視化し、必要な人に届けるかがポイントです。一方、コミュニケーションは、ディスカッション・フォーラム、マイクロブログ、メールなどで表現され、個人の意見を如何に活発に交換するかがポイントです。


企業内ソーシャル内に蓄積される情報は、当然外部に漏れてはならないので、Facebookのようなパブリックなサービスで行うのは、僕はおすすめしていません。いくらFacebook Groupがセキュアだと言っても、Facebookのセキュリティポリシーがどう変わるか分かりません。また、様々なマルウェアが入りこんでくる可能性もあり、下手に外部アプリにアクセスを許可してしまうと、情報流出になってしまいます。オンプレミス、クラウドにかかわらず、企業内もしくは特定企業間で閉じたインフラ上で実装すべきでしょう。また、そもそもFacebookはファイルを扱うことができないので、企業内情報共有ができません。


これからは、企業内ソーシャルのポイントとして、情報共有の方に重点が置かれると僕は考えています。Altimeter Groupの調査でも、"Sharing of best practices"が企業内ソーシャルの導入目的ナンバーワンとなっています。


ループス斉藤さんは、シンプルに"社内ナレッジの共有という意味では (5)検索機能 が極めて重要になってくる"と表現されていますが、それは単なる全文検索ではなく、ソーシャルグラフを活用したものになるでしょう。また全文検索は、検索結果が大量に返ってきて、どれが有用な情報か分からないという問題があります。これは機械的なアルゴリズムに依存しているのが原因です。それをブレークスルーするには、人間の目で情報を見立てたソーシャルタギングが有効なアプローチだと思います。タグ付けできるといっても、そのレベルは製品やサービスによって様々です。比較表上でのマルバツだけでは判断できません。


検索に代表されるPull型の情報取得に対して、Push型の情報配信も考えられるべきでしょう。Facebookでは、お友達を推薦されますが、それと同じように、自分にとって有用な情報(ファイル、文書)を推薦されたらどうでしょうか。自分では気づいていなくて検索しようとも思わなかった方向から有用な情報が入ってくるというのは、仕事のアウトプット品質の幅を広げてくれることでしょう。


企業内ソーシャルは、コミュニケーションの活性化ばかりに注目があたりがちなので、故に、ROI測定が難しいとか、自社文化に合わないだとか、そういう話になりがちです。しかし、情報共有に対する新しいアプローチであるという理解から入ると、検討しやすいのではないかなと思います。