コラボレーション・エンジニアの考える日々

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IBMのCEOはソーシャルで社内表彰する


今年からIBMのCEOを務めるジニー・ロメッティは、就任の挨拶をメールではなく、IBM Connections上で動画ブログを使って社員に向かって発信しました。まさにソーシャル時代のCEOといったところです。


そのジニーが、今度は社内での社員表彰を、IBM Connectionsを活用して行いました。使った機能は、ボード。Facebookでいうウォールです。ジニーは、表彰対象社員のボードに、お祝いのメッセージを書き入れたのです。


FacebookのウォールやIBM Connectionsのボードをご存じない方向けに、以下にメールとボードの違いをまとめてみました。ボードは、一人ひとりが自分専用の掲示板(ボード)を持っているイメージです。これは誰でも見ることができます。自分のボードや他の人のボードに書きこむと、フォローしている人のタイムライン上にその内容が表示されます。



IBM社内では、メールの代わりにボードを使ったコミュニケーションを行う社員がだんだん増えてきています。何か情報が欲しい場合、今までだったらメールで担当者に連絡していたところを、担当者のボードに書き込みます。すると、担当者からの返事もボードに書き込まれるので、他の人にとってみたら情報共有になります。また、担当者が答えられなかったり、答えるのが遅い場合は、たまたま質問を見た他の人が答えることがあります。メールだったら、質問者は回答を得られなかったところが、善意の第三者から情報を得られるというわけです。ソーシャルですね〜。


このボードを使ってジニーがある社員のボードに書きこんだ例が以下です。表彰された本人が反応する前に、他の人が祝福のメッセージを寄せています。最後に本人が登場してきて、「僕一人の力じゃないんだ」みたいな書き込みがされています。



表彰の目的は、功績を他の人に分かる形で称えることにより、その人の認知欲求を満たしてさらに意欲高く働いてもらったり、他の人の意欲を刺激するといったところにあると思います。そう考えると、ソーシャルツールであるボードは、この目的にぴったりです。自分だけに宛てられたメッセージでありながら、他のみんなにも見えていて認知される。そんなことをつらつら考えながら、表彰で検索していると、なんと、日本表彰研究所なる組織を見つけました。「表彰文化」を広めたいというこの組織の意思が現れた部分を以下に引用します。

「表彰」とは善行や功労、成果などを公に明らかにすることですが、同時に相手を認めるということでもあります。一般的に「表彰」というと、優れた功績に対してだけ行われることが多いように感じますが、もっと気軽な表彰、カジュアルな表彰、パーソナルな表彰があってもいいのではないでしょうか。何故なら、表彰は、相手を認めているということを、積極的に伝える行為でだからです。表彰文化を広げるということは、お互いがお互いを認め合う社会を作り上げることなのです。

表彰文化を広げるためには、社会の色々な組織、分野、地域などで表彰する機会を増やさなければなりません。しかし、従来の表彰のイメージしかなければ、気軽な表彰、カジュアルな表彰、パーソナルな表彰は、なかなか増えていかないでしょう。お互いがお互いを認め合う社会を作り上げるためには、表彰の効果効能を理解する人を増やし、表彰の機会を増やす必要があります。


ここで述べられているようなことを実施するのに、やはり、ソーシャルは最適だなぁと思うのです。



IBMのCEOは、自らコミュニケーションスタイルを変えてきています。まぁ裏方はいるのかもしれません。しかし、IBMとして、今までのやり方を変革しようということには変わりありません。ジニーの今回の行動を受けて、"Social CEO"だなんて言葉も出てき始めました。ソーシャルは、個人個人の力を活かして増幅するツールです。CEOも、その個人の中の一人です。ソーシャルを活用する企業とそうでない企業、これからもっと差が出てくることでしょう。


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