コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

メールの未来についてIDCがホワイトペーパーを公開

IT専門の調査会社であるIDCから、"The Future of Mail is Social"というなんとも気になるホワイトペーパーが先月出ています。このレポートはIBMがスポンサーとなっています。レポート(英語)のダウンロ−ドはこちらから。


直訳すると「メールの未来はソーシャル」。日本では、twitterやfacebookが提供するタイムラインがソーシャルだというように思われている雰囲気があるように思うのですが、メールをやめてタイムラインを使おうという話ではありません。メールは、メールの本来の使い方をして活用し、目的に応じたツールを使いましょうという趣旨の文書です。


以下、要点だけ簡単にサマリーしてみました。

  • メールの本来の利用目的は、一対一、または一対少数のコミュニケーション。安く簡単に使えて、社内・社外の誰とでもやりとりできて、あらゆるデバイスから利用でき、セキュアにコミュニケーションできる優れたツール。
  • メール洪水は、メールを本来の目的以上のことに使っていることが引き起こす。ファイル共有、チームコラボレーション、プロジェクト管理、同報お知らせ、マーケティング、アンケート収集など、なんでもメールでやろうとしてしまってるので、不効率なやり取りが発生してしまう。さらに、情報共有だと思って行う不用意なCC、宛先全員への返信が、洪水を加速させる。
  • 情報共有、コミュニケーションのツールは、利用目的に応じて、メール、リアルタイムコミュニケーション、ソーシャルウェアなどを使い分けるべき。
  • ツールをいろいろ切り替えて使い分けるのは難しいので、インターフェースは統合するのが望ましい。
  • メールをソーシャルウェアと統合することは、ソーシャルウェアを社内に浸透させる方法の1つとなる。まったく新しいツールを1から使ってもらうように教育するのは大変。日頃使い慣れたメールと機能統合することが利用促進につながる。
  • 今後、ソーシャルと統合されることにより、状況に合わせた情報のフィルタリングが可能となる。例えば、プロジェクトメンバーとのやりとりの中で、プロジェクト計画書や関連文書を自動的に提示してくれる、など。これは、ソーシャルウェアのタギング、レイティング、ランキングなどの仕組みが関係する。

世の中では、"Mail is dead"だとか、"No more mail"などと言われています。主には、情報共有ツールのベンダーが、メールを悪者に仕立て上げ、新しいツールに目を向けてもらおうというマーケティング手法のような気もします。でも確かに、こういった極端な意見は、長く染み付いた慣習から抜け出すにはいいかもしれません。一旦、まったく反対の方向に振っておいて、だんだんちょうどよいところに落ち着かせていくというのは、いろんな分野でのスキル習得方法に見られる手法です。


しかし、そういった極端な方法に違和感をお持ちの方は、このホワイトペーパーを一読されることをお勧めします。


<関連エントリ>
IBM Project Vulcan とは
Lotus Notes/Domino 8.5.3からIBM Connectionsが無料で付いてくる?
Lotusphere 2012 〜 オープニングジェネラルセッション