コラボレーション・エンジニアの考える日々

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個人のスマホを会社で使うIBMの戦略

最近、個人所有のスマートフォンを会社のネットワークにつなげて業務で使用する流れが加速しているようです。BYOD (Bring Own Your Device) という言葉も大分浸透してきました。IBMもiPhoneが発売された直後位からBYODをやっています。BYODに対するIBMの考えを、IBMのCIOであるJeanette Horanが、PCWorldのインタビューで述べている記事がありましたのでご紹介します。IBM社員も知らなかったようなことが書かれているので、僕も参考になりました。


Jeanetteはこう言っています。「会社がやらなくても社員はなんとかして自分のデバイスを仕事で使おうとする」。かくいう自分も、GooCalSyncというオープンソースプロジェクトを立ち上げて、自分のiPhoneから会社のカレンダーにアクセスできるようにしていました。やはりこれはセキュリティ上問題があるわけで、会社としてはやめさせたいですよね。こういったネガティブな動機というより、IBMは、社員のもっと効率的に働きたいという意思を受け取り、セキュリティをキープしながら、会社としてBYODに取り組んでいます。


合わせて、"Secure Computing Guidelines"というのを社員に配って、運用面からもセキュリティを確保するようにしています。これも、他の企業には参考になるのではないかと思います。


実際に、現在、IBMでモバイルデバイスで利用できるのは、Lotus Notes Travelerです。これでノーツメールとカレンダーを利用できます。さらに、USではVPNアクセスの試行が始まっていて、メール、カレンダー以外の社内サーバーにつなげられるようにしようとしています。僕もこのトライアルプログラムに参加していて、自分のiPhone, iPadを社外から社内ネットワークにつなげられます。


Jeanetteは、Dropboxのようなオンラインファイルサーバーの利用を検討しているようです。もう試行プログラムも始まっているようです。僕もこれは知らなかった・・・。探してやってみようと思います。


さらにJeanetteは、モバイルハイパーバイザー、つまり、モバイルデバイス上で仮想環境を作る仕組みを視野にいれています。モバイルハイパーバイザーだなんてところまで世の中は来ているのですね。僕は知らなかったのでちょっとググってみたら、VMWare社がソリューションを出していました。こういうソリューションで、自分のモバイルデバイスをプライベートの環境と会社の環境を完全に切り離して管理できれば、もっとBYODは進みますね。


記事の最後では、モバイルデバイスの購入資金を会社が拠出している事例を紹介していました。今後、これはモバイルデバイスだけでなく、PCにも拡大していくと思います。自分の懐が痛んでも、自分の好きなメーカー、好きなOS、最新の環境を使って、生産性良く仕事したい人は少なくありません。僕も、ThinkPadは自分で買っているし、OSやMS Officeも自腹です。社員の意欲を受け止め、セキュリティを保ちながら対応していくというのは、今の潮流ですね。個人の意欲・能力を積極的に活用していくというのは、何もソーシャルウェアばかりではありません。ハードウェア環境も含め、個人を活かしていくことを考えていきたいです。



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