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コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

ROC (Return on Contribution) という考え方

社内ソーシャルウェアを導入しても、情報をアップしてくれる人はそんなにいないんじゃないか?という疑問をよくもらいます。ソーシャルウェアのつぶやきという仕組みに関しては、知り合いとのおしゃべりに近いので、従来のグループウェアと違って、情報発信する人の数は多くなると僕は考えています。しかし、つぶやきは企業ソーシャルウェアの1つの機能に過ぎません。ソーシャルファイル共有、ブログ、Wikiなど、まとまった情報をアップする人というのは、やはりそんなに多くないだろうとは僕も思います。感覚的には、1〜2割でしょうか。20:80の法則、パレートの法則などのようなものが当てはまりそうです。


だからといって、企業ソーシャルウェアの効果が無いわけではありません。読者の存在が大きいのです。ソーシャルウェアは、価値のある情報が凄い勢いで伝搬されていきます。インターネット上で"バズる"などと言っている現象です。読者の広がりは、情報共有範囲の広がりです。ソーシャルウェアによる情報共有の促進効果を測るのに、読者を忘れてはいけないと思うのです。


などと思っていたのですが、そんなような主旨のことが既に2009年にIBM Researchからレポートが出ていて述べられていました。


そこでは、効果測定の方法として"Return on Contribution"という考え方が提示されています。単純化していうと、「ROC=読者数÷作成者数」です。作成した情報に対し、どれだけアクセスされたかという事ですね。何も情報共有がされなければ、ROC=1.0です。この数値が2.0, 3.0へと上がっていけば、情報共有が進んでいるという見方です。


ROCは、社内ソーシャルウェアの展開担当者にとっては、情報共有の部分において効果を測れるというのはもちろんですが、ROCの伸びや落ちを見ながら、適宜、活性化策を打っていくアクションのトリガーとしても使えます。また、社員個人個人にとっては、自分自身のROCを見られれば自分の影響度を知ることになり、1〜2割の優秀な社員をより活性化させていくことにつながりそうです。管理職からすれば、部下のROCを評価項目として入れることが考えられるでしょう。因みに、僕の所属しているエバンジェリストチームはグローバルに散らばっているのですが、マネージャーはアメリカにいて、会うのは年に1〜2回です。故に、評価は売上の数字でドライに決められます。ただ、それだけだと、各エバンジェリストが発揮してきた影響度を無視する部分も出てきてしまうので、社内ソーシャルウェアのIBM Connections上でどれだけ貢献しているかが評価されるようになっています。こんな風に、他でも、グローバルチームでは評価方法が変わっていくのかもしれません。


さらに論文の中では、ソーシャルブックマーク、Wiki、blog、ファイル共有などのコンポーネント毎にROCを測ることにも言及します。やはり、それぞれのコンポーネント毎に特性があるでしょうし、活性化策を打っていくなら、コンポーネント毎にROCを捉えられたほうがよいでしょう。そうなると、ソーシャルウェアには、ROCを測る上で意味のなるアクセス数をログできるかという能力が求められてきますが、現時点では各社のソーシャルウェアはそこまで網羅的に機能を整えているところはないようです。ROCに限らず、利用効果測定は、今後の企業内ソーシャルウェアに求められる機能の1つになっていくのだと思います。


<関連エントリ>
社内ソーシャルウェアの導入効果測定
社内ソーシャルウェアのROI