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コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

ソーシャルとタレント・マネージメントとの幸せな関係

IBMがKenexaという会社の買収を完了しました。Kenexaは、向こうの人は"ケネクサ"と発音しています。なんと、買収金額は13億ドルです。Lotusを35億ドルで買収したことを考えると、その4割弱の金額であり、IBMとしてはかなりの投資を行ったと考えられます。一体、Kenexaとは何なのでしょうか。なぜIBMはこんなに投資するのでしょうか。


■タレント・マネージメントという世界
タレント・マネージメントという言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本では人材管理と訳されることもあります。昔から企業経営には”人・物・金”が大事とよく言われますが、タレント・マネージメントは、その”人”を対象にしたソリューションです。そうなると、昔ながらの話かと思いきや、2012年のCEO Studyを見ると、企業の経済価値を維持するための一番大事な要素として、人材が挙げられています。ツールベンダーが言っているのではなく、世の中の経営者が、今まさに挙げている課題なのです。



なぜ今、改めて人材管理なのか?端的に言うと、それは、人材の流動化が激しくなってきているからです。今、US企業の離職率は年間15%と言われています。そして、抜けた人材の穴を埋めるのにかかるコストは、 SHRMの2011年のレポートによると、年収の200%となっています。とてもコストがかかりますね。それも、流動するのは優秀な人材でしょうから、すぐに穴を埋めるのは容易ではありません。売上の80%を上位20%の営業が稼ぎ出している、プログラムコードの80%が優秀な20%のプログラマーによって書かれている、などとよく言われるように、抜けた穴は早急に埋めなければなりません。そもそも、抜けないようにしなければなりません。


日本にいる私の肌感覚としても、IT企業ではとくに流動が激しくなっているなと感じます。LinkedInの厚盛の影響が大きいのでしょう。私はもう44才ですが、LinkedInを見て私にコンタクトするヘッドハンターは多いです。回りの同僚を見ても、優秀な人であればあるほど、その傾向は強いです。ヘッドハンターから魅力的な条件を出されたら、いくら終身雇用が当たり前という時代に入社した人でも、より自分が活躍できて、より収入が得られる環境に行ってみようかと思っても不思議ではありません。


ということで、このタレント・マネージメントという世界、市場規模は現在40億ドルから60億ドルと言われています。Oracle社はTaleoというソリューションを買いました。SAP社はSuccessFactorsという買い物をしました。そしてIBMはKenexaを買収したのです。Capterra社の調査では、Kenexaはこのエリアで知名度No1になっています。


■Kenexaが提供するタレント・マネージメントとは
タレント・マネージメントは、企業における人材管理。ソフトを導入すればいいってものではありません。そのため、Kenexaは以下のようなコンサルティングサービスをもっています。

  • Recruitment process outsourcing
  • HCM Service
  • Behavioral science
  • Implementation

一番目のRPOは、日本では”採用代行”だなどど訳されているようです。”採用代行”で検索してみると、結構な数のサイトがヒットします。タレント・マネージメントは、海の向こうの話ではなく、日本でも起こっているのです。
3番目のBehavioral scienceは"行動科学"と訳されます。最近、ゲーミフィケーションという文脈で、如何に社員にモチベーション高く仕事してもらうかということが議論されますが、それに近いのではないかと思います。


そして、ソフトウェア機能です。KenexaはSaaS型で提供するクラウドサービスです。以下の機能を提供します。

  • Recruiting
  • Onboarding
  • Learning
  • Performance Management
  • Assessments
  • Compensation
  • Surveys

なんと、人の採用などというところから始まって、新人研修、日々の学習、業務目標管理、目標達成管理、報酬管理、社員満足度調査まで行えるという、すごく包括的なソリューションです。IBMらしいですね。


■IBMソリューションとの融合
Kenexaは、人を管理するシステムとサービスです。ソーシャルも人を中心として考えられているシステムです。この2つのシステムの相性が悪いはずがありません。ソーシャルと融合することで、スキル保有者をすぐ見つけてプロジェクトチーム編成する、オンライン学習を媒介にしてつながった社員間でOJTを通して学習スピードを向上させる、ソーシャルのつながり上で業務目標を可視化してダイナミックにサポートを得たりサポートをしたりして行動をスピードアップする、ソーシャル上で業務達成状況を可視化してモチベーションを喚起する、などといったことが期待されます。


ビジネス・プロセス・マネージメントと連携すれば、バリューチェーンの各フェーズと連携して、目標設定->学習->実行->達成->レビューということが可能となり、ボトルネックとなっているプロセスの人に依存した原因究明や、プロセス自体のスピードアップにもつながるでしょう。さらにアナリティクスと融合すれば、ビジネス・プロセス・マネージメント上でのワークフロー上で、社員が判断を早く・正確に行えるようになるでしょう。




企業内ソーシャルウェアは、イノベーションを生み出す!、組織を超えたコラボレーション!などという獏としたものから、実利的なものへ移行しつつあります。その内の大きな1つがタレント・マネージメントとの連携です。ソーシャルは人を中心に考えられたやわらかいシステムであり、タレント・マネージメントはそれに比較するときっちり管理するかたいシステム。その両者が融合されることによって、どんな新しい世界が実現できるのか、これから楽しみです。その世界は、来年1月の最終週に行われるIBM Connect 2013で明らかにされることでしょう。