SalesforceとMicrosoftのファイル連携
皆さん、Google, Evernote, Dropboxなど、クラウドサービスを普通に組み合わせて使っていますよね。企業向けクラウドサービスでも、その流れは同じです。いいとこ取りして、組み合わせて使っていくんです。エコシステムの時代ですね。Salesforceもその考え方であり、いろんなシステムと組み合わせられます。
今、そのエコシステムの流れが一番来ているのはマイクロソフトだと思います。Salesforceとも戦略的パートナーシップを発表しており、これまで、製品レベルでのいろんな機能統合が実現されてきました。
その中でも、私がお客様にプレゼンやデモをしてきた中で、一番興味を持って頂いていると感じているのが、Files Connect という機能を用いたファイル統合です。Files Connectを使うと、他のシステムにあるファイルをあたかもSalesforce上にあるかのように扱えます。
百聞は一見にしかず。以下のデモ動画を御覧ください。SharePoint OnlineにあるファイルをChatter上にシェアし、かつ、Salesforceモバイルアプリから参照できる様子がご覧いただけます。
SharePointをお使いの企業は多いと思いますが、そこに溜められたファイルをChatter上でシェアすることで、有用なコンテンツをソーシャルのパワーで必要な人に広めることが出来て、資産の有効活用につながります。
このFiles Connectの意味するところは、”外部システム上の情報すら、顧客に紐づけて管理できる” ということです。以前のエントリ「強い情報共有」で書いた世界は、Salesforceで統一するということではないんです。CRMを始めとした業務アプリはSalesforceが得意な業務アプリ基盤を活用しつつ、SharePoint内の既存資産を組み合わせて使うという、まさにオープンなエコシステムの世界ですね。
巻き込み力と拡散力を高める社内SNSのグループメンション機能
Facebookにはメンション機能があって、指定する相手に見てくれるようにすることができますよね。社内SNSにも同じようにメンション機能がありますが、Chatterの場合は、メンションでグループを指定することができます。
何がいいかというと、社内の人達を巻き込んで問題を解決するのがやりやすくなるんです。また、シェアされている情報を必要な人達に拡散するときにも役立ちます。
Salesforce社内では、このグループメンション機能が出てきた直後から、凄い勢いで使われ始め、今や、なくてはならない機能の1つになりました。
言葉やデモで説明するのが難しい機能なので、紙芝居を作ってみました。みてやってください。
私の知る範囲では、このグループメンション機能を持つ社内SNS製品はありませんが、皆様がお使いの社内SNSにはあるかもしれません。もしあれば、是非活用してみてくださいね!
社内SNSを活性化するためにテクノロジーができること
社内SNSが使われない、というのはよく聞く話です。ではどうするか?世の中の識者の意見を見ていると、共通して言われているのは「社内SNSは業務にからめて使う」ということです。
社内SNSという場を立ち上げただけでは、何も起こりません。社内SNSがFacebook, Twitterと違うのは、業務だという点です。社内SNSだけがポツンと存在しても、業務と連携しなくては、社員はどう使ったらいいのか戸惑うばかりです。
業務に使うために、「こう使いましょう!」といって、社員に活用方法をガイドしていくのは良くやる活性化策です。ただ、そのガイドに耳を傾けてくれる社員はどれほどいるでしょうか…。
Salesforce Chatterは、業務とからめて使うために、業務システムと完全に統合しています。以下のようなイメージです。
例えばSFAアプリケーションの場合、商談情報を管理するレコードの上で、その商談のセールスチームのメンバーがChatterで会話できるということです。商談レコードの上にSNSがあるので、商談に関するやりとりをここで行うんだな、というのは社員にはすぐわかります。メールなどは使わず、商談レコードの画面ですべて行えます。あとからやりとりを確認するときにも便利です。利便性が高くなるんです。
実際の画面は以下の様なものです。
もちろんChatterは、レコード上のChatterだけでなく、普通のタイムラインもあります。レコード上のやりとりは、そこに統合されて表示されます。
このChatterの会話は、商談レコードにアクセス出来る人しか見れません。業務システムのセキュリティ設定とChatterが連動しているんですね。社内SNSはオープン、オープンと言っても、そこは業務。セキュリティ制御が必要です。Chatterであれば、自動的に適切なセキュリティが効いてくれます。
前回のエントリー「強い情報共有」で、Salesforceの情報共有は顧客に紐づいていることを説明しました。それは社内SNS上でのやりとりも同様です。CRMの考え方が、社内SNSも包含して実装されているんです。そして、SalesforceはForce.comというPaaSを提供していて、CRM/SFAに限らず、いろんなアプリケーションを構築できますが、そこでも、Chatterとの統合は上記とまったく同じように可能です。それも開発不要。クリックだけで業務と社内SNSが統合できてしまいます。
業務システムとの統合、これがChatterの最大の特徴です。現時点では、私の知る限り、他の社内SNS製品で業務システム統合ができているものはありません。製品の生い立ちが違うからでしょうか。普通は、グループウェア、メッセージングなどの純粋に情報共有を目的とした製品延長線上に社内SNS製品が作られます。しかし、Salesforceの場合は、CRMが軸になっています。他製品が情報共有をその生い立ちとしているのに対し、Chatterは業務アプリケーションから生まれてきたと言えます。
さて、ここまで書いてきましたが、それでもなお、社内SNSを活性化させるためには、なんらかの活性化策は必要です。テクノロジーだけでは、片手落ちです。しかし、テクノロジーにできることは最大限活用すれば、社内SNSの定着率は大幅に高まるでしょう。
強い情報共有
転職してから、かれこれ1年4ヶ月経とうとしています。皆様お久しぶりです。セールスフォース・ドットコムの大川です。放置していたこのブログ、そろそろ再開しようかと重い腰を上げました。
さて、コラボレーション・スペシャリストの役割を期待されて入社したわけですが、この一年、情報共有の在り方を考えさせられました。今までは、なんと曖昧に情報共有を考えていたのだろう、と。情報共有の目的意識が薄かったんですねぇ。
企業にとって一番大事なのは何か・・・。それはやはりお客様でしょう。であれば、顧客情報を中心に情報共有を考える、これがCRMです。目的意識のある、「強い情報共有」です。
顧客中心の情報共有システムがあるからこそ、お客様は何か問い合わせをされた時にたらい回しにされずにサービスを受けられます。営業がアプローチできていないお客様をあぶり出せます。社員によって対応がちぐはぐな顧客アプローチを避けられます。
CRMが無いシステムは、顧客情報が散在するシステムです。個々の社員が入力する情報は分散し、社員の力を集結できません。
セールスフォース・ドットコムはCRMの会社であり、提供するシステムは多岐に渡れど、CRMのこの考え方がベースとなっています。ブログ再開の最初のエントリは、僕なりのCRMの捉え方をご紹介させていただきました。これはある意味、情報共有のパラダイム・シフトだと思います。ビジネスを牽引するための目的志向の「強い情報共有」です。
IBMを退職してSalesforce.comに転職します。
11月末で21年間勤めた日本アイ・ビー・エム株式会社を退職し、12月から株式会社セールスフォース・ドットコムに転職することになりました。仕事内容は、今と同じプリセールスのエンジニアです。
私の転職理由にはいろいろありますが、公の場で言えるものではありませんので、このブログでは特に申し上げません。ただ1つ言えるのは、新しい環境でチャレンジしたかったということです。そう考えていたところに、いろいろなご縁とタイミングが重なりました。30代前半の自分であれば、転職という選択をしなかったかもしれませんが、45歳という歳が私の背中を押しました。
私は、中学生の時にすでにIBMに就職しようと思っていました。当時、祖父が私にPC6001というパソコンを買ってくれ、アセンブラでゲームなんかを作って遊んでいたのですが、ある時、祖父がこう言ったのです。「宗之よ、コンピューターで一番なのは、○○○でもない、△△△でもない、IBMだ。」そんな単純なことで、就職活動ではIBM一択で入社試験を受けました。IBMが実際に本当に素晴らしい企業だったことは、私にとって幸運でした。
IBMでは、AS/400、Lotusといったユニークなブランドを担当させていただきました。Salesforce.comも、世界に無いユニークなサービスを提供する会社です。IBMに比べたら、まだ若い会社ですが、今後も、破壊的な勢いで伸びていく会社だと思っています。そんな刺激的な環境の中で、職業人生の後半をスタートできるのは、これまた幸運です。自分が今まで培って来た能力をつぎ込んで、新しい環境で活躍できることを楽しんでいこうと思っています。
しばらくこのブログを更新していませんでしたが、これからもコラボレーションに関わりつづけていくと思いますので、新しい環境で学んだり感じたりしたことを、また発信していこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
エンタープライズ・ソーシャル・フェスティバル2013で再認識したリスク対処の重要性
昨日2013年8月1日、Looopsさん主催のエンタープライズ・ソーシャル・フェスティバル2013が盛況の内に無事終わりました。今までオンライン上の付き合いでしかなかった人にやっと会えたり、面白いソーシャル関連のサービスをしている方々と会話できたり、なにより、新しい仲間とイベントを作り上げることに関われたことが楽しかったです。手作り感覚で、終わった時は、昔、ライブをやった時のような打ち上がり感覚でした。
様々な気付きも得られましたが、その中の1つ、CSK Winテクノロジの前田さんのセッションの中で、エンタープライズ・ソーシャル・ネットワーク(以下、ESN)のリスクについて、話されていたのが印象に残っています。これを聞いて、リスクをお客様にきちんとご理解いただくことの重要性を、僕はまだまだ甘く見ていたのだなぁと思ったのでした。
さて、質問です。下記2つのどちらかを選べる場合、みなさんだったら、どちらを選ぶでしょうか?
a. 50%の確率で100万円もらえる。
b. 5%の確率で1億円もらえる。
手堅く a を選ぶ人もいるでしょうし、一発人生逆転狙いで b を選ぶ人もいるでしょう。また、冷静に期待値を計算して、b を選ぶ人もいるかもしれません。
では次の質問です。以下2つを選ばなければいけない場合、どちらを選びますか?
a. 50%の確率で100万円損
b. 5%の確率で1億円損
今度はほとんどの人が b を選んだのではないでしょうか。期待値を計算すると、a は50万円の損、b はなんと500万円の損です。それにも関わらず、人は b を選択してしまいます。リスクの話となると、過剰に反応してしまい、とにかくリスクは避けたいと感じて冷静に判断できなくなります。
前田さんは、このような質問を参加者にぶつけて、リスクを乗り越える難しさを説明されていました。(正確に覚えていないため、質問中の金額や表現、解説は、僕なりの理解で記載していますので、前田さんのセッション中の表現とは違います)
僕は今まで、ESNのメリットを説明してきた中で、お客様からリスクに関するご質問を沢山いただきました。「炎上しないか?」、「セキュリティ漏洩にならないか?」、「社員が遊んでしまわないか?」、その他多数。もちろん、1つ1つお答えしてきました。そして最後にはこう言っていました。「メリットとリスクを冷静に天秤にかけてください」。これじゃあダメなんだなぁと前田さんの話を聞いて思ったのでした。
これからは、ESNのメリットを訴求する一方、同じくらい力を入れて、リスクの方も説明して、対処できるものなのだということをご理解いただく必要がありますね。ソーシャルにしろ、クラウドにしろ、新しい価値を受け入れてもらうのは、理屈じゃない部分もあると、今回、学んだのでした。
情報共有の視点から見るエンタープライズ・ソーシャル・ネットワーク
8月1日(木)に「エンタープライズソーシャル・フェスティバル 2013」と名打って、エンタープライズ・ソーシャル・ネットワークの活用について、イベントをやります。ループスの岡村健右さんがブログにアップしています。
日本アイ・ビー・エム 八木橋 Pachi 昌也さんCSK Win テクノロジ 前田 直彦さんソフィア 森口 静香さん
1.社員がどんどん情報発信するようになる。twitterやFacebookのように自分とつながっている人に気軽に発信できる、というのはもちろん含まれているのですが、私は、フィードバックに注目しています。つぶやきに限らず、ファイル等をアップロードした時に、コメント、いいね!が付いて、「役に立ったよ!」と言ってくれると、自分のモチベーションが上がりますよね?そうすると、次も頑張って品質の高いファイルを作ってアップしようという気になります。また、アクセス履歴も1つのフィードバックです。「見てくれている!」と分かれば、それもモチベーションにつながります。フィードバックがあるからこそ、人は頑張れると思うのです。2.多くの情報から必要な情報を検索して取得できる。全文検索のことではありません。これはタグ付けのことです。全文検索って、大量の情報が引っかかってきてしまうという限界がありますよね。タグは、人間の目で情報を見立てて付けたものなので、タグから検索すれば自分の探したかった情報へのヒット率が格段に上がります。また、いいね!の数やアクセス数という情報も検索結果からどれを見ればいいのか判断するのに役に立ちます。頑張ってアップされた情報も、見られなければフィードバックが付きません。ストック情報として溜まっている中から、今までとは違うもっと効率の良い方法が必要です。3.検索しなくとも情報が入ってくる。
これはフォローやレコメンデーションのことです。フォローといっても人をフォローしてつぶやきが流れてくるだけでは不十分です。フォローした人の行動まで流れてくることを考えます。どんなファイルをアップしたのか、どんなWebサイトをチェックしたのか、コミュニティでどんな発言をしたのか、どんな情報にいいね!といったのか、どんなタスクをやっているのか、例えばベテラン社員のそういった情報を新人社員が分かるようになれば、まさに背中を見て育つようなことができる可能性があります。また、人をフォローできるだけでは不十分で、自分の仕事に関係するであろう様々な情報ソースを選択してフォローできるべきでしょう。思わぬ人や情報との出会いは、イノベーションの種になり得ます。