コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

ディスカッションDBからの脱却 〜 その1 〜

ディスカッションDBになりはててしまったという記事で、ディスカッションDBの公開性に対する問題を述べました。ディスカッションDBには、もう1つ、コラボレーションによって新たな知識を創造する上で不利な点があると思っています。それは、ディスカッションスレッドは1つのテーマから発展しないという点です。


ディスカッションスレッドは、コメントの途中からテーマが変わるという事は基本的にはありません。たまにありますが、そういった議論は大して深堀されません。かたやブログでは、トラックバックという仕組みによって、関連する新たな記事が視点を変えて生まれます。そうやって視点を変えながら新たなテーマが生まれ、そのテーマについての意見交換が新たに始まります。人間の思考は、連想ゲーム方式で進められます。よく会議などで議論が発散するのもそのためです。しかしトラックバックは、人間の連想ゲーム思考をうまく利用して、議論を深め、新たな気づきを得ることを推進します。これは、マインドマップの狙うところと同じ効果だと私は考えています。しかし、ディスカッションDBでは、その効果が妨げられてしまうのです。今までの書き込みでも、コメントで立派な意見が書き込まれているのが見受けられますが、コメントであるがために、そこから先に議論が深まっていかないのではと思います。トラックバックで書いてもらえればと思っていましたが、ディスカッション形式に慣れきったIBM社員としては、慣れ染みのないトラックバックよりコメントになってしまうのでしょう。


ディスカッションDBから脱却する為に、まずはこの点に焦点を当てました。
対応策として、ブログポータルのビューでコメント文書の階層表示をやめ、各記事文書にディスカッションスレッドを埋め込むようにしました。こうすることによって、コメントの扱かわれ方が記事よりも落ち、なるべくトラックバックで意見をいうようになることをねらったものです。一方、1つの記事に対するディスカッションは、これはこれでやってもらいたいので、”最近コメントが付いた記事”というビューをポータルに付け加えました。これにより、ディスカッションの盛り上がりが他のメンバーからも見える形にするのが狙いです。



システム1つで社内文化を変えるのは容易ではありませんが、こういった変更を加えることによって、何か変わるのではないかという期待を抱きつつ、しばらく運用してみることにします。ディスカッションDBの公開性の問題についても近々対応予定です。