コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

コラボエンジニアに求められる技術力 〜 ループス斉藤さんのお話からの示唆

つい先日、IBM内のとある部署に、ループス・コミュニケーションズCEOの斉藤徹さんがご講演にいらっしゃった。僕は全然関係ない部署だったのだけれど、ある個人的チャネルの紹介でその場に参加できた。


ソーシャルメディアに対して、メディア企業が今後どう対峙していく必要があるのかというお話であり、そこで使われていたチャートの一部はslideshare上にアップされている。


本当に様々な内容が含まれていたが、技術者として僕が反応したのは、企業Webサイトのソーシャル化のパターンだ。以下の3パターンだと僕は理解した。

  1. 企業Webサイトをソーシャルで作る。
  2. 企業Webサイトを外部ソーシャルサイトと連携してソーシャル的な要素を組み込む
  3. 外部ソーシャルサイト上に企業Webサイトを作る。


1番目は、ニッセン樣のハピテラのようなサイトで、企業自身がユーザーと対話するコミュニティ的なしくみを構築するというもの。因みにこのサイトはループスさんが構築されたそうだ。一頃、専門SNSというのは非常に流行ったが、結局、ユーザーをつなぎとめておけるのは、ほんの一部の企業だけだ。コミュニティ運営にはプロのモデレーターが必要だし、構築;維持にもコストがかかる。なにより、大量のユーザーがいて初めて効果がでるものなので、莫大な会員数をもつ企業でなければ、実施は難しいだろう。そういう点で、効果は高いがハードルも高いのがこのパターン。


2番目は、Facebook、Twitter、mixiなどの外部サイトと企業サイトをAPIを通して連携させていくパターン。お手軽な方法としては、企業情報をTwitterで流したりなどが考えられる。


3番目は、自社Webサイトとは別に、Facebookやmixi上に企業用のページを作る方法だ。インフラを用意しなくていいので、このパターンが一番お手軽。Facebookファンページを作ったり、Facebookやmixi上でアプリを作るといったことを差す。最近では、Facebook内で課金までできる仕組みが実際に使われ始めているらしい。Facebookのソーシャルグラフを利用したレコメンデーションを組み合わせてECサイトを作るということが実際に事例として出てきている。


1番目に対しては、IBMは現在出遅れているが、Lotus Connectionsというソーシャルウェアが最近は盛り上がってきており、かつ、Project Northstarというビジョンで企業Webサイトでのユーザーエクスペリエンスのトータルな向上策を打ち出しており、その中の一部でソーシャルなアプローチを述べており、今後、かなり力を入れていくことになる。この部分は自社製品やソリューションをきちんと理解していればいい話。


2番目、3番目は、完全にオープンな世界だ。ベンダー技術者とはいえ、Facebookアプリ(現在55万あるらしい・・・)、mixiアプリやAPIなど、理解して実装できる必要がある。そして、いきなり1番の選択肢を取る企業はかなり少ないだろうから、2番目、3番目が企業のソーシャル化に際してソフトランディング的に使われることを考えると、ここを押さえるのは重要だと思う。



ということで、今後のコラボレーションエンジニアに求められるのは、外部SNSを利用した仕組みづくりのスキルだ。Facebookやmixi独自の規格やOAuthのような標準技術も知っておく必要があるだろう。この辺りは、小回りの聞くベンダーの方がキャッチアップが早い気がする。しかし、一人のエンジニアとしては、押さえておきたいところだ。また勉強したいことが増えてしまった。時間が欲しい・・・。