コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

うちの会社はノマドで働けます

2011年3月11日の東日本大震災後、IBMにはお客様からBCPの1検討項目として在宅勤務のご相談を多くいただきました。しかし、徐々にその勢いは薄れ、あまり最近は検討の項目に上がることが少ないように思えます。大震災からほぼ1年後、2012年4月3日に発生した爆弾低気圧で電車が大混乱して帰宅難民が出た後も、その状況は変わりません。


恐らく、検討した結果、「在宅勤務はハードルが高い」と判断されたのでしょう。在宅勤務には、クリアしなければならない課題が沢山あります。ペーパーレス化、社内システムへのリモートアクセス、PCの持ち歩き対策、個人PCからの安全なアクセス、労務管理、人事評価制度の見直し、チームワーク断絶への不安、部下の監視ができなくなる不安、等々。BCPを目的としたら、ROIは低いのかもしれません。あの大震災ですら、首都圏では1週間もすると会社に通えるようになったのですから。喉元過ぎればなんとやらです。


しかし、在宅勤務の目的はBCPだけではありません。子育てや介護を行う優秀な社員の活用、直行直帰による効率的な働き方の実現などがあります。そして、最近、どこでも自由に働くワークスタイル”ノマド”が再度注目されてきているようです。


優秀な人材ほど会社を辞めていく、とは良く言われることです。ノマドを指向して、優秀な人がフリーランスとなって企業から流出していくという現象は今後増えるのかもしれません。そこまでリスクを取る人は少数でも、より自由に働ける会社に転職しようという人が多くいても不思議ではありません。


つまり、優秀な人材を引き止める、獲得する方策として、在宅勤務の導入が考えられるということです。ihayato.newsの「なぜ人はノマドに憧れるのか」というエントリでも、"僕は多くの企業が在宅勤務を許可するようになれば、「ノマド」への憧れは大分薄らいでいくのでは、と予想しています"とあります。また、Facebookのシェリル・サンドバーグCOOのように、家庭を持って強烈に働く人にも在宅勤務は必須です。


在宅勤務導入にあたっての「部下がちゃんと働くか…」という事については、ある一定の役職、成績を収めている社員に在宅勤務を許可するということであれば、その心配は薄らぐかもしれません。日本IBMも、ある一定以下の社員には在宅勤務は許可していません。


最近は、お金ではなく、働くモチベーションや働く環境を重視する人が増えています。そういう人達に、「うちの会社はノマドで働けます」というのは強力なメッセージになるのではないでしょうか。