コラボレーション・エンジニアの考える日々

企業での情報共有とコミュニケーションについて、ITを中心に企業コラボレーションを考えていくブログです。

ワトソン君とコラボレーション

もう2ヶ月以上前の話となったが、IBMがコンピュータの歴史上、非常に重要な快挙を成し遂げた。コンピュータのワトソン君がクイズ番組に出演し、2人のチャンピオンを打ち負かしたのだ。(質問応答システム“ワトソン”がクイズ番組に挑戦!)


ワトソン君は、質問文の自然言語を理解し、100万冊以上の情報から瞬時に答えを類推し、自然な言葉でしゃべって回答する。このどれもが凄いのだが、一番凄いのが、自然言語を理解する部分だ。ここがGoogleの検索とはまったく違う部分。検索リテラシーなんか必要ない。誰でも使える。自然な文で質問すれば、自然な文で答えてくれる。まさに何でも博士だ。


IBMはワトソン君の開発に膨大なコストをかけているが、決して、クイズ番組で賞金を稼ぐのが目的ではない。F1レースのように、ここで培われた技術を社会に役立てるためだ。まずは医療分野での適用が見込まれている。患者の症状を聞き、膨大な医療データから最適な処方を出してくることが期待されている。


そして、コラボレーション分野でも期待されている技術だ。人間と人間の間のコラボレーションに、コンピュータが参加し、何でも博士として人間にいろいろ助言してくれる。


で、すぐ思いつくのが、インスタントメッセージで聞くと、いろいろ答えてくれるボットだ。


「今度結婚するんですが、必要な手続きを教えてください。因みにデキちゃった婚なので、その辺も考慮して。」なんていう恥ずかしい事務手続きも、相手がボットならば気兼ねなく聞ける。


「ドイツのお客様にLotusLiveの提案説明をしなきゃいけないんだけど、ドイツ語と日本語が出来て、LotusLiveに詳しい人を探してきてください。出来れば、うちのマネージャーからエスカレーションしやすい筋で。」 と聞くと、社内ソーシャルネットワークアナリシスと連携して、最適な現地の人材を探してくれる、とか。


実は、IBMの中では昔からSametimeのボットが存在している。社内アドレス帳を引いて電話番号を教えてくれたり、3文字略語を教えてくれる。ノーツクライアントから離れずに、パッと知りたいことを調べられるのは便利だ。こんなボットは自分で作れるので、業務に合わせた簡単な問い合わせシステムが作れる。



今、コラボレーション分野では、より正確なビジネス判断をするところにコラボレーションの適用が始まっている。BAOとソーシャルウェアの連携などがその代表例だ。コラボレーション的な要素は業務システムの至るところに埋めこまれて、ユーザーを支援するようになるだろう。コンテキストコラボレーションの世界だ。実際、IBM USでは、ワトソン君を社内ヘルプデスクの代わりをさせるパイロットが始まっている。困っているとワトソン君がひょこっと現れてサポートしてくれる、そんな日は近い。